を忘れて物を見る如くなる時、即ち天堂の事物を知る爲神の與へ給ひし時間
一四二―一四四
【第一の愛】神。ダンテはさきに聖靈を指してかく言へり(地、三・六及び天、六・一一)
一四五―一四七
【己が翼を動かし】己が力のみに信頼して
一四八―一五〇
【淑女】聖母
第三十三曲
聖ベルナルドゥス、ダンテの爲聖母マリアに祈りをさゝぐ、ダンテこの祈りにより至上の光を仰ぎ望みて三一及び神人兩性の秘奧をさとり、至幸至福の境に達す
一―三
【處女】淨、二五・一二八參照
【わが子】キリスト。神としてはマリアの父、人としてはその子なり
【己を低くし】ルカ傳一・四八參照
【永遠の聖旨の】永遠變らざる神意により豫め選ばれて救世主の母たるべしと定まれるもの
七―九
【愛】神と人との間の愛。この愛の障礙となるものは罪なり、救世主世に降りて罪を贖ひ、愛あらたに燃ゆ
【この花】天上の薔薇
一〇―一二
【亭午の】正午の太陽に因みて光の強きをいふ。聖母は諸聖徒の愛を燃す焔なり
【活泉】盡きせぬ泉
一六―一八
【求めに先んず】淨、一七・五八―六〇註參照
二二―二四
【宇宙のいと低き沼】地獄
二五―二七
【終極の救ひ】神(天、二二・一二四參照)
二八―三〇
【彼の】彼をして終極の救ひを見るをえしめんとのわが願ひはその切なるにおいて、我自らこれを見んと思ふの願ひにかはらじ
三一―三三
【汝の祈りによりて】汝彼の爲神に祈りて
【こよなき悦び】神
三四―三六
【かく見】神を
四〇―四二
【目】マリアの目。父に愛《め》でられ子に尊まる(スカルタッツィニ)
【祈れる者】ベルナルドゥス
【示し】微笑によりて
四三―四五
【光】神。光にむかふは神の許をえんが爲なり
四六―四八
【望みの極】神
【熄む】願ひの必ず成るを信じて靜心《しづこゝろ》にかへれるをいふ
五二―五四
【高き光】神の光。たゞ神の光のみ本來眞なり、萬物の眞はこの光を頒つによりてはじめて存す
五八―六〇
天、二三・四九―五四參照
【他は】夢その物は
六一―六三
【消え】記憶より
六四―六六
事物の記憶より冷えゆくさまをさらに二の譬にて示せり
【シビルラ】キュマエ(ナポリの西の町)の巫女にてアエネアスを冥府に導ける者。その豫言を木の葉に録し秩序を立てゝこれを己が巖窟の内に藏す、風吹來りてこれを散らせば、散るに任せて再び顧ることなしといふ(『アエネイス』三・四四一以下參照)
七三―七五
【勝利】萬物に卓越して大なること
七六―七八
世の強き光は人強ひてこれを視んと力むればその目|眩《くら》みて堪へ難し、神の光はこれと異なり、力めてこれに堪へこれを視る時は視力増し、一たび目を他に轉ずれはまたこれを視るをえず
八二―八四
【視る力の盡くる】わが視力の許すかぎり見るを得るまで
八五―八七
宇宙に散在する諸物諸象は一糸亂れず皆その本源なる神に合す、而してかく合せしむるものは即ち愛なり、この合一ありて諸物諸象存在の意義はじめて全し、これなくは宇宙はたゞ一渾沌のみ
八八―九〇
【實在】Sustanzia 自ら己が存在を保つ物
【偶在】accidenti 實在に附して存在する物
【特性】costume 特殊の作用
【かのものは】原、「わがいふ所のものは」
【單一の光】混るさまの安全なるを表はす
或ひは曰く、これ「微光」なり、即ちその混るさま極めて奧妙にして言語に盡し難ければ、わが言ふ所はわが見し物のたゞ微かなる幻影に過ぎじとの意と
九四―九六
世人が二千五百年の間にかのアルゴナウタイ遠征の事を忘れしにもまさりて我は示現の後僅か一瞬の間にかの光の事を忘れたり
【ネッツーノ】ポセイドン、海の神
【アルゴ】イアソン(地、一八・八五―七並びに註參照)の率ゐし遠征隊の乘れる船。海を渡れる最初の船なれば海神これに驚けるなり
【二千五百年】中古信ぜられし年代に從へばアルゴナウタイ遠征の事ありしはキリスト以前一二二三年なり
【睡】letargo 忘却。但し異説あり
九七―九九
意は九〇行に續く
【熟視】心眼をもて
一〇三―一〇五
【この外にては】萬物の善萬物の福は皆神より出づ、故に善の完きものたゞ神の光の中にあり
一〇六―一〇八
【想起】想ひいづることにつきてさへかくの如し、況んや見し物につきてをや
一〇九―一一一
以下一二六行まで三一の示現を敍す
一一二―一一四
神の姿の一樣ならざる如く見ゆるは姿その者の變るによるにあらずして見る者の目の力のかはるによるをいふ
一一五―一一七
【三の圓】父、子、聖靈の象徴。色異なるは顯現の異なるなり、大きさの同じきはいづれも等しく完きなり
一一八―一二〇
【その一】子。父より出づるがゆゑにその光の反映なりといへり
【イリ】イリス、虹。二重の虹のうち、一が他の反映なるごとく(天、一二・一〇―一五並びに註參照)
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