爲すべき役《つとめ》を割當つ。神を愛するによりてその定むる役を知り、喜びてこれを行ふなり
七三―七五
【自由の愛】神の命じ給ふを待たず、己が衷なる神の愛に動かされて各※[#二の字点、1−2−22]その役を知りかつこれを行ふこと
七九―八一
【碾石】の如くめぐりて喜びを現はすなり、碾石《ひきうす》の譬へ前にもいづ(天、一二・三)
八二―八四
【愛】神の愛に燃ゆる魂
八五―八七
【わが視力】人は己が智力のみによりて光の源なる神を知るをえざるなり
八八―九〇
われ神を見ること明らかなればわが焔もまたこれた準じて燦かなり(天、一四・四〇―四二參照)、知るべし、わが光となる悦びは神を成るにもとづくを
九一―九三
われらかく神を成れどもわれらの中の、否天使の中のいとすぐるゝ者さへ聖意の奧を知り難し
【セラフィーノ】天、四・二八―三〇並びに註參照
九七―九九
【かゝる目的に】かく奧深き事を敢てまた究めんと力むることなからしむべし
一〇〇―一〇二
【こゝにては】天にては被造物の智神の光を受けて光れど地にては迷ひまた誤りの爲に暗む
【天に容れられてさへ】被造物の智は天に入りて後にさへかの秘義を悟りえざるに未だ地にある時に當りて何ぞこれをさとりえむ、換言すれば、天上の聖徒すらかゝる事を解しえざるに地上の人いかでこれを解しえんや
一〇六―一〇八
【二の岸】アドリアティコとティルレーノとの兩海岸
【岩】山、即ち中部アペンニノ連山を指す
一〇九―一一一
【カートリア】アペンニノに連なる一山にてグッビオとラ・ベルゴラの間にあり山腹に「カマルドリ」派に屬する一僧院(庵[#「庵」に白丸傍点])ありき、「サンタ・クローチェ・ディ・フォンテ・アヴェルラーナ」即ち是なり、傳へ曰ふ、ダンテは一三一四年の頃足をこの僧院に止めしことありと
一一五―一一七
【橄欖の液の】橄欖の油のみにて味をつけし食物、即ち精進物
一一八―一二〇
道心堅固の者のみゐたるかの僧院は多くの魂をこれらの天に送りたりしに今や腐敗してこの事なし、しかしてその腐敗せる状態《ありさま》は神必ず刑罰によりて顯はし給はむ。但し神罰の何なりしやは明らかならず
一二一―一二三
【ピエートロ・ダミアーノ】ペトルス・ダミアーニ。名高き神學者、一〇〇七年頃ラヴェンナの貧家に生れ、その兄ダミアーノの厚意によりて學を終ふ(彼が自らピエートロ・ダミアーノと呼べるはこの恩を思ひてなり)、年三十にしてフォンテ・アヴェルラーナ僧院に遁れ、やがて選ばれて院主となる、一〇五八年オスティアの僧正兼カルディナレに任ぜられしも幾何もなく辭して再び僧院に歸り、一〇七二年ファーエンツァに死す、高徳大智の名僧にて神學に關する著作多し、ピエートロ・ペッカトレ(罪人ピエートロ)とはその自ら謙りて呼べる名なりといふ
【われらの淑女の家】僧院。註釋者曰く、こはコマッキオ(ラヴェンナの北)附近なる聖マリア・ポムポーザの僧院を指せるものにて、ピエートロ未だ一僧侶なりし時アヴェルラーナの院主の請ひによりかしこに行きて二|年《とせ》ばかり止まりゐたることありと
但しピエートロはその後年にいたりてもなほペッカトレの名を用ゐしこと明らかなればこの一聯に就て異説甚だ多し、いづれも難あり。スカルタッツィニは一二二行の前半を後半と別ちて「かしこにて我はピエートロ・ダミアーノまたピエートロ・ペッカトレといひき、我またアドリアティコの岸なるわれらの淑女の家にありしことあり」と讀めり、この解最も難なし、されど聲調の自然をそこなふ
一二四―一二六
【帽】カルディナレの帽
【傳へらるゝ】高位の僧となる人物が次第に劣りゆくをいふ
一二七―一二九
以下一三五行まで前聯の末行に因みて僧官の奢侈を難す
【チエファス】(ケパ)、使徒ペテロ(ヨハネ、一・四二)
【聖靈の大いなる器】使徒パウロ、地、二・二八に「選《えらび》の器《うつは》」といへるもの
【いかなる宿の】ルカ、一〇・七參照
一三〇―一三二
【己を】今の僧官等は美食安佚によりてその身肥え、人の助けを借らざれは歩を運ぶ能はず、かつまた人に誇らん爲その裳裾を長くし特にこれをかゝぐる人を用ゐるにいたる
一三三―一三五
【表衣にて】またその表衣《うはぎ》は長く廣くして己が乘馬を蔽ふ、これ一枚の表衣(皮[#「皮」に白丸傍点])をもて二匹の獸(僧と馬)を包むなり
【何の忍耐ぞ】神の忍耐はいかに大いなる哉
一三六―一三八
【いよ/\美しく】ペトルス・ダミアーニの義憤の言を聞きてこれに同感を表するなり
一四二
【雷】強き響き
第二十二曲
聖ベネデクトゥスがその開山の昔を語りかつ今の僧侶の腐敗を歎くを聞きて後、ダンテはベアトリーチェと共に第八天(恒星天)にいたり、七遊星と地球とを俯瞰す
一―三
【恃處】母(淨、三〇・四三―五參照)
一
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