の
【火】輝く諸聖徒
【凡ての位】同じく鷲を象どる諸靈の中にてもその尊さに差別あるを示す
三七―三九
【聖靈の歌人】イスラエル王ダヴィデ(淨、一〇・五五以下參照)。神の靈感によりて歌ひたれば「聖靈の」といへり
【匱】神の匱。ダヴィデこれをアビナダブの家よりオベド・エドムの家に移し後又これをイエルサレムに移せり(サムエル後、六・一以下)
四〇―四二
【己が思ひより】ダヴィデの詩は王自身の思ひ(自由意志)と靈感とより成る、前者の徳は王に歸し後者の徳は聖靈に歸す
四三―四五
【嘴にいと近き】皇帝トラヤヌス
一寡婦の請を容れてその子の爲に復讎を約しゝ事前に出づ(淨、一〇・七三―九三)
四六―四八
【この麗しき】天堂の幸福と地獄の苦痛とをともに經驗し、キリストを信ぜざる者がいかなる憂目を地獄に見るに至るやを知る
トラヤヌスがグレゴーリウスの祈りの功徳によりて地獄の苦を脱しゝ事に就ては一〇六行以下及び淨、一〇・七三以下並びに註參照
四九―五一
【圓】四三行の「輪」
【彼に續くは】ユダ王ヒゼキヤ。病みてまさに死せんとせし時神に祈り求めしかば神即ちこれに十五年の齡を加へ給ひたり(列王下、二〇・一―七等)
【眞の悔】註釋者の曰へる如く、恐らくはダンテの記憶の誤りならむ、歴代下(三二・二六)に王その心の高慢《たかぶり》を改めて身を卑《ひく》くしたりとあれど、こは死を延べし後の事なればなり
五二―五四
【永遠の審判に】神眞實の祈を嘉納し、けふと定めしことをあすに延べ給ふともその審判その正義は依然として變らじ(淨、六・二八―三九參照)
五五―五七
【次なる者】皇帝コンスタンティヌス一世(地、一九・一一五―七並びに註參照)
【牧者に讓らんとて】ローマの領地を法王シルヴェステル一世にさゝげんとて
【律法及び我】律法と鷲(武)とをギリシア化するは、ローマ帝國の首都をビザンティウム(ギリシア人の建設せる)に移し文武の諸權を彼地より出づるにいたらしむるなり(天、六・一―三並びに註參照)
【己を】皇帝自らビザンティウムに赴けること
五八―六〇
【世を亡ぼす】ダンテ思へらく、遷都と寺院の富とはローマ帝國の衰頽を來し、ひいて全人類の不幸を招くにいたれりと
六一―六三
【グリエルモ】シケリア及びアプリアの王グリエルモ二世(一一五四―一一八九年)。一一六六年王位に即きて善政を布く
【カルロ】アプリア王シャルル二世(天、一九・一二七―九參照)
【フェデリーゴ】シケリア王フェデリコ二世(天、一九・一三〇―三五參照)
六七―六九
【リフェオ】リペウス。トロイア陷落の際ギリシア軍と戰ひて死せる勇士の名
リペウスの事たゞ『アエネイス』(二・三三九、三九四、四二六―七)に見ゆるのみ、アエネアスがトロイアの軍話《いくさばなし》をディドになしゝ言葉の中に「リペウスもまた倒る、彼はトロイア人《びと》の中にていと正しくいと直き者なりき」(二・四二六―七)とあり
【誰か信ぜむ】異教時代のリペウスが救ひを得て天にあらんとは
七六―七八
【永遠の悦び】神
【これが願ふところに】神意に從つて萬物は皆そのある如くなる(即ち神がかゝる物たらしめんと思ひ給ふ如くなる)にいたる
【像】鷲。鷲は神意にもとづく帝國の象徴なれば特に神の御手の印影《かた》をとゞむ(天、七・六七―九參照)といへり。かの鷲の默せるは、雲雀の己が歌に滿足して默す如く、これらの詞に滿足したるよりならむとの意
七九―八一
【かしこにては】ダンテの言葉を俟たずして、諸聖徒よくその疑ひの何なるやを知りしかど
八二―八四
【これらの事】わが見かつ聞きし事、即ち異教徒なるべきトラヤヌスとリペウスとが救はれて天にある事
九四―九六
【熱き愛及び】燃ゆる愛と強き希望とは(これなくば永遠の罰を受くべき者にありても)聖旨を動かし、これを有する者をして天堂の福を奪取することをえしむ
【侵さる】violenza pate マタイ傳一一・一二(ヴルガータの)に vim patitur とあるによれり
九七―九九
愛と望み聖旨に勝つは人が人に勝つ如く、強をもて弱を制するに非ず、聖旨自らその仁慈《いつくしみ》によりて勝たれんと願ひ給ふが故なり、さればこれが負くるはとりもなほさずその愛の勝つなり
一〇〇―一〇二
【生命】靈
【天使の國】天堂
一〇三―一〇五
【彼は】リペウスはキリストの降誕以前にありて救世主の贖ひあるべき事を信じ、トラヤヌスはその以後にありてかの贖ひありしことを信ぜり
【痛むべき足】釘にて十字架に打付けらるべき足。キリストの受難
一〇六―一〇八
【一者】トラヤヌスの靈
【善意に戻る者なき】地獄には改悔なし
【生くる望】グレゴリウスの。神は必ずその祈りを聽き給ふと固く信じて疑はざりしこと
一〇九―一一一
【移るを】改悔と信仰とに(地獄にては移る能はじ)
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