焉zベルタ女史もマルチーノ先生も。ダンテ時代にてはこれらの名を賤女《しづのめ》、賤男《しづのを》の意に用ゐたりと見ゆ
【神の審判】原文、【神の思量《はからひ》の中にかれらを見る」。即ちかれらを見てその救ひまたは滅に關する神の聖旨《みむね》を知る
一四二
盜みする者悔いて救ひを得、喜捨する者罪を犯して滅びにいたることあらむ
第十四曲
ベアトリーチェの請に應じ、一靈ダンテの爲に肉體復活後における聖徒の状態を説く、かくてダンテその導者と共に第五天(火星)にいたれば、こゝには教へに殉じ又は信仰の爲に戰へる者の靈あり、十字架の形を作りて神を讚美す
一―九
圓形の器《うつは》の中なる水の動搖外部(縁)より起れば波動次第に小さくなりて中心に向ひ、内部(中心)より起れば波動次第に大きくなりて縁に向ふ、かくの如く、ダンテとベアトリーチェとを中心として圓く圍める聖徒の一群よりトマスの聲出でゝこの二者に達し、次にベアトリーチェの聲中心より出でゝかの一群に達したり
一〇―一二
【この者】ダンテ
【思ひによりて】ダンテの疑ひはたゞ起らんとせしのみなれば、よく心の中を視る聖徒と雖も知る能はざりしなり
一六―一八
【再び見ゆるに】最後の審判を經て靈魂再び肉體と合する時。目[#「目」に白丸傍点]は即ち肉眼
二二―二四
【急なる】トマスの言につゞきて直ちにいひあらはせる(スカルタッツィニ)
【新たなる悦び】天、八・四六――八並びに註參照
二五―二七
人地に死するは天に生きん爲なり、地に死あるによりて歎き悲しむ者は天の福のいかに大いなるやを知らざる者なり
【永劫の雨】神恩の雨かぎりなく聖徒の上に降《ふ》り注ぎてこれを福ならしむること
【かしこに】我の如く天にて
二八―三〇
三一の神を
【一と二と三】一は父、二は父と子、三は父と子と聖靈
【限られず】淨、一一・一―三參照
三四―三六
【神々しき光】ソロモンを指していへるならむ(天、一〇・一〇九參照)、されどダンテが何故に特に彼を選べるやは明らかならず
【天使】ガブリエル(淨、一〇・三四以下參照)
三七―三九
【衣】光の
四〇―四二
【視力】神を視る力
【是また】神を視る力の多少は神の恩惠の多少に準じ、恩惠の多少は各人の功徳の多少に準ず。いかなる高徳の人といへどもその功徳以上に受くる神恩あるにあらざれは神を視るをえざるなり
四三―四五
【備はる】靈肉倶に(地、六・一〇六以下並びに註參照)
【いよ/\めづべき】光も美もまさり、いよ/\完きにいたるをいふ
四六―四八
【光】神恩の
五二―五七
炭焔を放てども焔の爲にかくれずしてその形を現はす如く、甦れる肉體はその光の爲にかくれず、これを貫いて見ゆるにいたらむ
五八―六〇
以上第一問に答へて、天上の聖徒は永久に光り輝くのみならず肉體の復活とともにいよ/\その美を増すをいひ、またこゝにては第二問に答へて、復活後の肉體はその諸機關極めて完全なればかゝる光を視るも目を害ふことなきをいへり
六四―六六
【父母その他】彼等は父母及び在世の日に睦び親める親戚知己等もまた靈肉の結合によりて天上の榮えを全うしかれらと相見るにいたらん事を願ふなり
六七―六九
【かしこにありし】即ち二群の聖徒のかなたにて
新しき一の光はさきの諸靈と同じく哲理神學に精しき靈の一群より出づる光にて、一樣に燦かなるはその群の中なる諸聖徒の光いづれも同じ樣《さま》に輝くなり
【輝く天涯】日出近き時の地平線
七〇―七二
日の暮初むる頃、多くの星空に現はるれど、名殘の日光に妨げられて、あるかなきかに見ゆる如く
七三―七五
【かしこに】かの光の中に
七六―七八
【聖靈の】聖靈の閃き聖徒の光となりて現はる
七九―八一
【記憶の及ぶあたはざるまで】原文、「記憶に伴はざる見物《みもの》の中に殘さゞるをえざるまで」
八二―八四
【これより】ベアトリーチェの姿より
【いよ/\尊き救ひ】さらに大いなる福即ち第五天
八五―八七
【星】火星。常よりも赤きは世に見るよりも赤き意
火星の赤き美しき光に接して後はじめて高く昇れるを知る、昇ること極めて早ければなり
八八―九〇
【萬人の】萬人共通の言葉、即ち心の聲
【燔祭】olocausto 犧牲の全部を神に獻ぐること、こゝにては眞心こめし感謝
九一―九三
【供物の火未だ】感謝の未だ終らぬさきに
九四―九六
【輝】信仰の戰士等。
【二の光線】十字形の(一〇〇――一〇二行參照)
【エリオス】〔Elio`s〕 神。但し出處明らかならず
九七―九九
【賢き者】銀河の何物なるやは古來賢哲の間の一疑問なりしをいふ
ダンテは『コンヴィヴィオ』(二、一五・四五―八六)において「かの銀河については哲人間に異説あり」と前提し、ピュタゴラスやアリストテレス等の諸説を擧げ、後者に關しては「その古譯に從へば
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