】ultime potenze(最後の勢能)、potenza は現に在るに非ず、たゞ在りうべき物
【業より業】子の作用《はたらき》上なる物にはじまりて次第に下なる物に移ること
【苟且の物】contingenze 在ることをえ在らざることをうる物即ち滅び失すべき被造物
六四―六六
【種により】動植物等。種によらざるものは礦物の類
六七―六九
かゝる産物の原料と、この原料を用ゐて諸物を形成する諸天の力とはいづれも一定不變ならざるが故に、物として神の光(觀念の光)を受けざるはなけれど、その受けて輝く光に多少あり(天、一・一―三並びに註參照)
七三―七五
材料もし凡ての點において備はり、かつこれに及ぼす天の影響極めて強くば、神の觀念の光皆顯はれむ(その物完全ならむ)
七六―七八
【自然】飼造の機關たる自然(諸天)
【乏しき】神の光を完全に傳ふる能はざるなり
七九―八一
されど三一の神直接にその作用《はたらき》を及ぼし給ふ時は被造物皆完全なるべし
【熱愛】聖靈。とゝのふるは印をうくるに適はしからしむるなり
【第一の力】父
【燦かなる視力】(智)即ち子
註釋者曰く。五二―四行にては父を主とし、五五行以下にては子を主とし、こゝにては聖靈を主として創造の働を言現はせり、是三者の働に過不足なきを示せるなりと
八二―八四
かく直接なる神の働により、土(即ちアダムの肉體となれる)は生物(即ち人)を極めて完全ならしむるに適はしき材となり、また同じ働により處女マリアはキリストを身に宿したり
八五―八七
【如くに】如く完全に
八八―九〇
【かの者】ソロモン
九一―九三
【求めよといはれし】神に(列王上、三・五)。神夢にソロモンに現はれ給ひ、その求むる所を問へるに、ソロモンこれに明君たるの資格をえさせ給へと乞ふ、神は彼が自己一身の爲に長壽富貴を求むることをせず、たゞひたすら父ダヴィデの位を辱めざらんと希ふにより、その願ひを嘉し給へり(同三・五――一二)
九四―九六
【わがいへる】我明らかにソロモンの名をいはざりしかど、猶わが言葉と聖書の記事とを照らし合せて
九七―九九
神學や論理に通ぜん爲にあらず
【動者】諸天の運行を司る天使
【必然と偶然】二前提の中、一必然にして一偶然ならばその結論必然なるを得るや否や
一〇〇―一〇二
哲學や數學に達せん爲にもあらず
【第一の動】他の動より生ぜざる動
一〇三―一〇五
【わが謂ふところの】原文、「わが思の矢の中る」
一〇六―一〇八
【興りし】Surse この動詞(sorgere)には、出る、生る、の意の外、立上るの意あれば王者が臣民の上に立つを現はすといへるなり
一〇九―一一一
【別ちて】ソロモンの智は王者の智を指し、その智即ち古今の王者に卓越せるの意なること、またアダムとキリストの智はかゝる制限を有せざること
【信仰】アダム(第一の父)並びにキリスト(われらの愛する者)の智の完全なるを信ずる(三七行以下)
一一二―一一四
汝この轍に鑑みてこの後また輕々しく事を斷ずる勿れ
【足の鉛】〔andar co' pie` di piombo〕(鉛の足にて行く、即ち警戒して徐かに歩む)等の句あるを思ふべし
一一八―一二〇
【情また】自説にかたよるの情、智を妨げて眞理を見るにいたらざらしむ
一二一―一二三
その備なくして眞理を求むるは寧ろ求めざるの優れるに若かず、そはその人、求むる所の眞理を得ざるのみならず、求めざる所の誤謬を得るにいたればなり
【出立つ時と】魚を捕へんとして而して技《わざ》を有せざれは、その人たゞ手を空うしてわが家に歸るのみならず、出立つ時と異なり、疲勞と失望を感ずるにいたる、眞理を求むる者またかくの如し
一二四―一二六
以下一二九行まで、眞を求めて誤を得し人々の例を擧ぐ
【パルメニーデ】パルメニデス。名高きギリシアの哲人、エレア學派に屬す、前五世紀
【メリッソ】メリッソス。同エレア學派の哲人にてパルメニデスの弟子なりといふ、前五世紀
【ブリッソ】ブリュソン。古代ギリシアの哲人
これらはいづれもアリストテレスの難じゝ人々なればこゝにあげたり、前二者の事『デ・モナルキア』(三・四・二六以下)にも見ゆ
一二七―一二九
【サベルリオ】サルベリウス。神の三一を否定せる三世紀の異端者(アフリカのペンタポリスに生る)
【アルリオ】アリウス。三―四世紀の人(リビアに生る)にてキリストの神性を否定せる異端者
【聖書を】聖書を誤解してその眞義(直き顏[#「直き顏」に白丸傍点])を枉ぐることあたかも劒がその刄《は》に映《うつ》る人の顏を歪みて見えしむる如し
一三〇―一三二
以下人の魂の救ひや滅びに關しても輕々しく判ずまじきよしを述ぶ、こは前論の一例に屬するのみならず、またソロモンの救ひの事に關すればなり
一三九―一四一
【ドンナ・ベルタ
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