も雲の中にてその疾《と》き火の爲《な》す如き技《わざ》をかしこに爲すべし。 三四―三六
ヨスエの名いはるゝや、我は忽ち一の光の十字架を傳ひて動くを見たり、げに言《いふ》と爲《なす》といづれの先なりしやを知らず 三七―三九
尊きマッカベオの名とともに、我はいま一の光の※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]《めぐ》りつゝ進み出づるを見たり、しかして喜悦《よろこび》はかの獨樂《こま》の糸なりき 四〇―四二
またカルロ・マーニョとオルランドとの呼ばれし時にも、我は心をとめて他の二の光を見、宛然《さながら》己が飛立つ鷹に目の伴ふ如くなりき 四三―四五
後またグイリエルモ、レノアルド、公爵《ドウーカ》ゴッティフレーディ、及びルベルト・グイスカールドわが目を引きてかの十字架を傳はしむ 四六―四八
かくて我に物言へる魂、他の光の間に移り混《まじ》りつゝ、天の歌人《うたびと》の中にても技《わざ》のいたく勝《すぐ》るゝことを我に示せり 四九―五一
われ身をめぐらして右に向ひ、ベアトリーチェによりて、その言《ことば》または動作《ふるまひ》に表《あら》はるゝわが務を知らんとせしに 五二―五四
姿|平常《つね》にまさり最終《をはり》の時にもまさるばかり、その目清くたのしげなりき 五五―五七
また善を行ふにあたり心に感ずる喜びのいよ/\大いなるによりて、人己が徳の進むを日毎に自ら知るごとく 五八―六〇
我はかの奇《く》しき聖業《みわざ》のいよ/\美しくなるを見て、天とともにわが※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]《めぐ》る輪のその弧《アルコ》を増しゝを知れり 六一―六三
しかして色白き女が、その顏より羞恥《はぢらひ》の荷をおろせば、たゞ束《つか》の間《ま》に變るごとく 六四―六六
われ回顧《ふりかへ》りしときわが見るもの變りゐたり、こは己の内に我を容《い》れし温和なる第六の星の白さの爲なりき 六七―六九
我見しに、かのジョーヴェの燈火《ともしび》の中には愛の煌《きらめき》のあるありて、われらの言語《ことば》をわが目に現はせり 七〇―七二
しかしてたとへば岸より立ちさながら己が食物《くひもの》を見しを祝ふに似たる群鳥《むらどり》の、相連《あひつらな》りて忽ち圓を作りまた忽ち他《ほか》の形を作る如く 七三―七五
諸※[#二の字点、1−2−22]の聖者はかの諸※[#二の字点、1−2−22]の光の中にて飛びつゝ歌ひ、相寄りて忽ちD《デイ》忽ちI《イ》忽ちL《エルレ》の形を作れり 七六―七八
かれらはまづ歌ひつゝ己が節《ふし》に合せて動き、さてこれらの文字の一となるや、しばらく止まりて默《もだ》しゝなりき 七九―八一
あゝ女神《めがみ》ペガーゼアよ(汝才に榮光を與へてその生命《いのち》を長うす、才が汝の助けによりて諸邑諸國に及ぼす所またかくの如し) 八二―八四
願はくは汝の光をもて我を照らし我をして彼等の象《かたち》をそのわが心にある如く示すをえしめよ、願はくは汝の力をこれらの短き句に現はせ 八五―八七
さてかれらは七の五倍の母字子字となりて顯はれ、我はまた一部一部を、その言顯はしゝ次第に從ひて、心に記《と》めたり 八八―九〇
Diligite《ディーリギテ》 iustitiam《イウスティティアム》 是全畫面の始めの語《ことば》なる動詞と名詞にてその終りの語は Quiiudicatis《クイーイウディカーチス》 terram《テルラム》 なりき 九一―九三
かくて第五の語《ことば》の中のM《エムメ》にいたり、彼等かく並べるまゝ止まりたれば、かしこにては木星|宛然《さながら》金にて飾れる銀と見えたり 九四―九六
我またMの頂の處に他の諸※[#二の字点、1−2−22]の光降り、歌ひつゝ――己の許《もと》に彼等を導く善の事ならむ――そこに靜まるを見たり 九七―九九
かくてあたかも燃えたる薪を打てば數しれぬ火花出づる(愚者これによりて占《うらなひ》をなす習ひあり)ごとく 一〇〇―一〇二
かしこより千餘の光出で、かれらを燃す日輪の定むるところに從ひて、或者高く或者少しく昇ると見えたり 一〇三―一〇五
しかして各その處にしづまりしとき、我はかの飾れる火が一羽の鷲の首《かしら》と頸《くび》とを表はすを見たり 一〇六―一〇八
そも/\かしこに畫く者はこれを導く者あるにあらず、彼自ら導く、かれよりぞ巣を作るの本《もと》なる力いづるなる 一〇九―一一一
さて他の聖者の群《むれ》即ち先にエムメにて百合となりて悦ぶ如く見えし者は、少しく動きつゝかの印象《かた》を捺《お》し終りたり 一一二―一一四
あゝ麗しき星よ、世の正義が汝の飾る天の力にもとづくことを我に明らかならしめしはいかなる珠いかばかり數多き珠ぞや 一一五―一一七
是故に我は汝の動《うごき》汝の力の汝なる聖意《みこゝろ
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