その貧しき路を求め 四三―四五
後くだりつゝ群《むらが》る小犬の己が力をかへりみずして吠え猛るを見ていやしとし、その顏を曲げて彼等をはなる 四六―四八
くだり/\て次第に水嵩《みづかさ》を増すに從ひ、この詛はるゝ不幸の溝《みぞ》、犬の次第に狼に變はるをみ 四九―五一
後また多くの深き淵を傳ひてくだり、智の捕ふるを恐れざるばかりに欺罔《たばかり》滿ちたる狐の群《むれ》にあふ 五二―五四
われ聞く者あるがために豈口を噤まんや、この者この後|眞《まこと》の靈の我にあらはすところを想はば益をえむ 五五―五七
我汝の孫を見るに、彼猛き流れの岸にかの狼を獵り、かれらをこと/″\く怖れしむ 五八―六〇
彼その肉を生けるまゝにて賣り、後これを屠ること老いたる獸に異ならず、多くの者の生命《いのち》を奪ひ自ら己が譽《ほまれ》をうばふ 六一―六三
彼血に塗《まみ》れつゝかの悲しき林を出づれば、林はいたくあれすたれて今より千年《ちとせ》にいたるまで再びもとのさまにかへらじ。 六四―六六
いたましき禍ひの報《しらせ》をうくれば、その難いづれのところより襲ふとも、聞く者顏を曇らすごとく 六七―六九
むきなほりて聞
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