へて曰ふ。我よく智をもて汝の意中を穿つをえば、汝がいへるはアルノの事ならむ。 二二―二四
その侶《とも》彼に曰ふ。この者何ぞかの流れの名を匿すこと恰も恐るべきことを人のかくすごとくするや。 二五―二七
かく問はれし魂その負債《おひめ》を償《つぐの》ひていふ。我知らず、されどかゝる溪の名はげに滅び失するをよしとす 二八―三〇
そはその源、ペロロを斷たれし高山《たかやま》の水|豐《ゆたか》なる處(かの山の中《うち》これよりゆたかなる處少なし)より 三一―三三
海より天の吸上ぐる物(諸※[#二の字点、1−2−22]の川これによりてその中に流るゝものを得《う》)を返さんとて、その注ぐ處にいたるまで 三四―三六
地の幸《さち》なきによりてなるか、または惡しき習慣《ならはし》にそゝのかさるゝによりてなるか、人皆徳を敵と見做して逐出《おひいだ》すこと蛇の如し 三七―三九
此故にかのあはれなる溪に住む者、いちじるしくその性《さが》を變へ、あたかもチルチェに飼《か》はるゝに似たり 四〇―四二
人の爲に造られし食物《くひもの》よりは橡實《つるばみ》を喰ふに適《ふさ》はしき汚《きたな》き豚の間に、この川まづ
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