》を消し、記憶の流れこれを傳ひて清く下るにいたらむことを 八八―九〇
汝等の中にラチオ人《びと》の魂ありや、我に告げよ、我そのしらせを愛《め》で喜ばむ、また我これを知らば恐らくはその者に益あらむ。 九一―九三
あゝわが兄弟よ、我等は皆一の眞《まこと》の都の民なり、汝のいへるは族客《たびびと》となりてイタリアに住める者のことならむ。 九四―九六
わが立てるところよりやゝ先にこの答へきこゆるごとくなりければ、我わが聲をかなたにひゞくにいたらしむ 九七―九九
我は彼等の中にわが言《ことば》を待つ状《さま》なる一の魂を見き、若し人いかなる状ぞと問はば、瞽《めしひ》の習ひに從ひてその頤《おとがひ》を上げゐたりと答へむ 一〇〇―一〇二
我曰ふ。登らむために己を矯《た》むる魂よ、我に答へし者汝ならば、處または名を告げて汝の事を我に知らせよ。 一〇三―一〇五
答へて曰ふ。我はシエーナ人《びと》なりき、我これらの者と共にこゝに罪の生命《いのち》を淨め、御前《みまへ》に泣きて恩惠《めぐみ》を求む 一〇六―一〇八
われ名をサピーアといへるも智慧なく、人の禍ひをよろこぶこと己が福ひよりもなほはるかに深かりき
前へ
次へ
全396ページ中78ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
山川 丙三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング