ならず、その外見《みえ》によりてこれに劣らず心に訴へ、早く憐《あはれみ》を人に起さしめんとするもそのさままた斯《かく》の如し 六四―六六
また日が瞽の益とならざるごとく、わがいま語れるところにては、天の光魂に己を施すを好まず 六七―六九
鐡《くろがね》の絲凡ての者の瞼《まぶた》を刺し、これを縫ふこと恰もしづかならざる鷹を馴らさんとする時に似たりき 七〇―七二
我はわが彼等を見、みづから見られずして行くの非なるをおもひてわが智《さと》き議者《はからひびと》にむかへるに 七三―七五
彼能くいはざる者のいはんと欲するところをしり、わが問ひを待たずしていふ。語れ約《つづ》まやかにかつ適《ふさ》はしく。 七六―七八
ヴィルジリオは臺《うてな》の外側《そとがは》、縁《ふち》高く繞《めぐ》るにあらねば落下る恐れあるところを行けり 七九―八一
わが左には信心深き多くの魂ありき、その恐ろしき縫線《ぬひめ》より涙はげしく洩れいでて頬を洗へり 八二―八四
我彼等にむかひていふ。己が願ひの唯《たゞ》一の目的《めあて》なる高き光を必ず見るをうる民よ 八五―八七
願はくは恩惠《めぐみ》速かに汝等の良心の泡沫《あわ
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