てあゆみ自らこれを知らざる人、他《ほか》の人々の素振《そぶり》をみてはじめて異《あやしみ》の心をおこせば 一二七―一二九
手は疑ひを霽《はら》さんため彼を助け探《さぐ》り得て、目の果し能はざる役《つとめ》を行ふ、この時わが爲せることまたかゝる人に似たりき
我はわがひらける右手《めて》の指によりて、かの鑰を持つもののわが額に刻《きざ》める文字たゞ六となれるをしりぬ 一三三―一三五
導者これをみて微笑《ほゝゑ》みたまへり
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   第十三曲

我等|階《きざはし》の頂にいたれば、登りて罪を淨むる山、こゝにふたゝび截りとられ 一―三
一の臺《うてな》邱《をか》を卷くこと第一の圈の如し、たゞ異なるはその弧線《アルコ》のいよ/\はやく曲《まが》るのみ 四―六
こゝには象《かた》も文《あや》もみえず、岸も路も滑《なめら》かにみえて薄黒き石の色のみあらはる 七―九
詩人曰ふ。我等路を尋ねんためこゝにて民を待たば、我は我等の選ぶことおそきに過ぐるあらんを恐る。 一〇―一二
かくて目を凝らして日を仰ぎ、身をその右の足に支へ、左の脇《わき》をめぐらして 一三―
いふ。あゝ麗しき光よ、汝に頼恃
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