、アッシーリア人《びと》の敗れ走れるさまと殺されし者の遺物《かたみ》を示せり 五八―六〇
我は灰となり窟《いはや》となれるトロイアを見き、あゝイーリオンよ、かしこにみえし彫物《ほりもの》の象《かたち》は汝のいかに低くせられ衰へたるやを示せるよ 六一―六三
すぐるゝ才ある者といふとも誰とて驚かざるはなき陰《かげ》と線《すぢ》とをあらはせるは、げにいかなる畫筆《ゑふで》または墨筆《すみふで》の妙手ぞや 六四―六六
死者は死するに生者は生くるに異ならず、面《まのあたり》見し人なりとて、わが屈《かゞ》みて歩める間に踏みし凡ての事柄を我よりよくは見ざりしなるべし 六七―六九
エーヴァの子等よいざ誇れ、汝等|頭《かうべ》を高うして行き、己が禍ひの路を見んとて目をひくく垂るゝことなかれ 七〇―七二
繋《つなぎ》はなれぬわが魂のさとれるよりも、我等はなほ多く山をめぐり、日はさらに多くその道をゆきしとき 七三―七五
常に心を用ゐて先に進めるものいひけるは。頭《かうべ》が擧げよ、時足らざればかく思ひに耽りてゆきがたし 七六―七八
見よかなたにひとりの天使ありて我等の許《もと》に來らんとす、見よ第六の侍婢《
前へ 次へ
全396ページ中71ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
山川 丙三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング