二
彼我に曰ふ。目を下にむけよ、道をたのしからしめむため、汝の足を載する床《ゆか》を見るべし。 一三―一五
埋《う》められし者の思出《おもひで》にとて、その上なる平地《ひらち》の墓に、ありし昔の姿|刻《きざ》まれ 一六―一八
たゞ有情《うじやう》の者をのみ蹴る記憶の刺《はり》の痛みによりてしば/\涙を流さしむることあり 一九―二一
我見しに、山より突出《つきい》でて路を成せるかの處みなまた斯の如く、象《かたち》をもて飾られき、されど技《わざ》にいたりては巧みなることその比に非ず 二二―二四
我は一側《かたがは》に、萬物《よろづのもの》のうち最も尊く造られし者が天より電光《いなづま》のごとく墜下《おちくだ》るを見き 二五―二七
また一側に、ブリアレオが、天の矢に中《あた》り、死に冷《ひや》されて重く地に伏せるを見き 二八―三〇
我はティムプレオを見き、我はパルラーデとマルテを見き、彼等猶武器をとりその父の身邊《まはり》にゐて巨人等の切放たれし體《からだ》を凝視《みつ》む 三一―三三
我はネムブロットが、あたかも惑へるごとく、かの大いなる建物《たてもの》のほとりに、己と共にセンナールにてた
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