や。 ―一三二
彼曰ふ。彼榮達を極めし頃、一切の恥を棄て、自ら求めてシエーナのカムポにとゞまり 一三三―一三五
その友をカルロの獄《ひとや》の中にうくる苦しみの中より救ひいださんとて、己が全身をかしこに震はしむるにいたれり 一三六―一三八
我またいはじ、我わが言《ことば》の暗きを知る、されど少時《しばらく》せば汝の隣人《となりびと》等その爲すところによりて汝にこれをさとるをえしめむ 一三九―一四一
この行《おこなひ》なりき彼のためにかの幽閉を解きたるものは。 一四二―一四四
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第十二曲
我はかの重荷を負へる魂と、あたかも軛《くびき》をつけてゆく二匹の牡牛のごとく並びて、うるはしき師の許したまふ間歩めり 一―三
されど師が、彼をあとに殘して行け、こゝにては人各※[#二の字点、1−2−22]帆と櫂をもてその力のかぎり船を進むべしといへるとき 四―六
我は行歩《あゆみ》の要求《もとめ》に從ひ再び身を直《なほ》くせり、たゞわが思ひはもとのごとく屈みてかつ低かりき 七―九
我既に進み、よろこびてわが師の足にしたがひ、彼も我も既に身のいかに輕きやをあらはしゐたるに 一〇―一
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