《たかぶり》の負債《おひめ》を償ふ、もし罪を犯すをうるときわれ神に歸らざりせば、今もこの處にあらざるならむ 八八―九〇
あゝ人力の榮《さかえ》は虚《むな》し、衰へる世の來るにあはずばその頂《いたゞき》の縁いつまでか殘らむ 九一―九三
繪にてはチマーブエ、覇を保たんとおもへるに、今はジオットの呼聲《よびごゑ》高く、彼の美名《よきな》微《かすか》になりぬ 九四―九六
また斯の如く一のグイード他のグイードより我等の言語《ことば》の榮光を奪へり、しかしてこの二者《ふたり》を巣より逐ふ者恐らくは生れ出たるなるべし 九七―九九
夫れ浮世《うきよ》の名聞《きこえ》は今|此方《こなた》に吹き今|彼方《かなた》に吹き、その處を變ふるによりて名を變ふる風の一息《ひといき》に外ならず 一〇〇―一〇二
汝たとひ年へし肉を離るゝため、パッポ、ディンディを棄てざるさきに死ぬるよりは多く世にしらるとも 一〇三―一〇五
豈|千年《ちとせ》に亙らむや、しかも千年を永劫に較ぶればその間の短きこと一の瞬《またゝき》をいとおそくめぐる天に較ぶるより甚し 一〇六―
路を刻《きざ》みてわが前をゆく者はかつてその名をあまねくトスカ
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