四―三六
我若し汝が恰も人の性を憤るごとくさけびて、あゝ黄金《わうごん》の不淨の饑ゑよ汝人慾を導いていづこにか到らざらんと 三七―
いへる處に心をとめ、わが思ひを正さざりせば、今は轉《まろ》ばしつゝ憂《う》き牴觸を感ずるものを ―四二
かの時我は費《つひや》すにあたりて手のあまりにひろく翼を伸ぶるをうるを知り、これを悔ゆること他《ほか》の罪の如くなりき 四三―四五
それ無智のために生くる間も死に臨みてもこの罪を悔ゆるあたはず、後《のち》髮を削りて起き出づるにいたる者その數いくばくぞ 四六―四八
汝また知るべし、一の罪とともに、まさしくこれと相反する咎、その縁《みどり》をこゝに涸《か》らすを 四九―五一
是故にわれ罪を淨めんとてかの貪婪《むさぼり》のために歎く民の間にありきとも、これと反する愆《とが》のゆゑにこそこの事我に臨めるなれ。 五二―五四
牧歌の歌人いひけるは。汝ヨカスタの二重《ふたへ》の憂ひの酷《むご》き爭ひを歌へるころは 五五―五七
クリオがこの詩に汝と關渉《かゝりあ》ふさまをみるに、善行《よきおこなひ》にかくべからざる信仰未だ汝を信ある者となさざりしに似たり 五八―六〇

前へ 次へ
全396ページ中133ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
山川 丙三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング