是故にジヨヴェナーレが地獄のリムボの中なる我等の間にくだりて汝の情愛を我に明《あか》せし時よりこの方 一三―一五
汝に對してわれ大いなる好意《よしみ》を持てり、實《げに》これより固くはまだ見ぬ者と結べる人なし、かかれば今は此等の段《きだ》も我に短しと見ゆるなるべし 一六―一八
されど告げよ――若し心安きあまりにわが手綱|弛《ゆる》みなば請ふ友として我を赦し、今より友いとして我とかたれ 一九―二一
貪婪《むさぼり》はいかで汝の胸の中、汝の勵みによりて汝に滿ちみちしごとき大なる智慧の間に宿るをえしや。 二二―二四
これらの詞をききてスターツィオまづ少しく笑を含み、かくて答へて曰ひけるは。汝の言葉はみな我にとりて愛のなつかしき表象《しるし》なり 二五―二七
それまことの理《ことわり》かくるゝがゆゑに我等に誤りて疑ひを起さしむる物げにしば/\現はるゝことあり 二八―三〇
汝が我をば世に慾深かりし者なりきと信ずることは汝の問ひよく我に證《あかし》す、これ思ふにわがかの圈にゐたるによらむ 三一―三三
知るべし、我は却つてあまりに貪婪《むさぼり》に遠ざかれるため、幾千の月この放縱を罰せるなり 三
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