こは人を幸にせざるものにて眞《まこと》の幸にあらず、凡ての幸の果《み》またその根なる至上の善にあらず 一三三―一三五
かゝる幸に溺るゝ愛この上なる三の圈にて歎かる、されどその三に分るゝ次第は 一三六―一三八
我いはじ、汝自らこれをたづねよ。 一三九―一四一
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   第十八曲

説きをはりて後たふとき師わが足れりとするや否やをしらんと心をとめてわが顏を見たり 一―三
我はすでに新しき渇《かわき》に責められたれば、外《そと》に默《もだ》せるも内《うち》に曰ふ。恐らくは問ふこと多きに過ぎて我彼を累《わづら》はすならむ。 四―六
されどかの眞《まこと》の父はわが臆して闢《ひら》かざる願ひをさとり、自ら語りつゝ、我をはげましてかたらしむ 七―九
是に於てか我。師よ、汝の光わが目をつよくし、我は汝の言《ことば》の傳ふるところまたは陳ぶるところをみな明かに認むるをう 一〇―一二
されば請ふ、わが愛する麗しき父よ、すべての善惡の行の本《もと》なりと汝がいへる愛の何物なるやを我にときあかしたまへ。 一三―一五
彼曰ふ。智の鋭き目をわが方にむけよ、しかせば汝は、かの己を導者となす瞽《めしひ
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