斷たる 一〇九―一一一
わがかく説分《ときわく》る處正しくば、愛せらるゝ禍ひは即ち隣人《となりびと》の禍ひなる事亦|自《おのづ》から明かならむ、而して汝等の泥《ひぢ》の中にこの愛の生ずる状《さま》三あり 一一二―一一四
己が隣人の倒るゝによりて自ら秀でんことを望み、たゞこのためにその高きより墜つるを希ふ者あり 一一五―一一七
人の高く登るを見て己が權《ちから》、惠《めぐみ》、譽《ほまれ》及び名を失はんことをおそれ悲しみてその反對《うら》を求むる者あり 一一八―一二〇
また復讐を貪るほどに損害《そこなひ》を怨むとみゆる者あり、かゝる者は必ず人の禍ひをくはだつ 一二一―一二三
この三樣の愛この下に歎かる、汝これよりいま一の愛即ち程度《ほど》を誤りて幸を追ふもののことを聞け 一二四―一二六
それ人各※[#二の字点、1−2−22]己が魂を安んぜしむる一の幸をおぼろにみとめてこれを望み、皆爭ひてこれに就《つ》かんとす 一二七―一二九
これを見または求むるにあたりて汝等を引くところの愛|鈍《にぶ》ければ、この臺《うてな》は汝等を、正しく悔いし後に苛責す 一三〇―一三二
また一の幸《さいはひ》あり、
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