フ道はたゞ恐ろしき惡の報いをまのあたり彼に示してその改悔をうながすにあるのみ
一三九―一四一
【死者の門】罰をうくる者の門即ち地獄の門。ベアトリーチェがリムボにくだりてウェルギリウスにダンテの救ひを托せしこと地、二の五二以下にいづ
一四二―一四五
人若し悔改めずしてその罪を忘るゝをうべくば神の律法は廢らむ
【その水を】原文、かゝる食物。レーテの水には罪を忘れしむる力あり(淨、二八・一二七以下參照)
第三十一曲
己が罪過を懺悔して後ダンテ、マテルダにたすけられてレーテの流れを渡りその水を飮みて彼岸にいたれば諸徳彼を導いてベアトリーチェの前に立たしめかつこれに請ひてその面※[#「巾+白」、第4水準2−8−83]を脱せしむ
一―六
【刃さへ利しとみえし】間接に(即ちベアトリーチェがダンテの罪過について天使にいへる言を)ききてさへ劇しとおもはれし
七―九
【官】喉と口
一〇―一二
【悲しき記憶】汝未だレーテの水を飮まざるがゆゑに汝の罪過を忘るゝ筈なし
一三―一五
【目を】聲甚だ弱きがために唇の動くさまをみて判ぜざればさとりがたき
【シ】si(然り)責められしことの眞なるをいへる語
一九―二一
【重荷】惑ひと怖れの
二二―二四
【幸】至上の幸即ち神
【わが願ひ】わが汝の心の中に起さしめし善き願ひ
二五―二七
【堀】原文、横の堀(路を遮る堀)カーシーニ曰、堀と鍵とは消極積極二種の障礙なり、一は心の弱みより生じ一は世の誘ひよりいづ、ベアトリーチェに對するダンテの愛の冷却のごときは前者に屬し、濁れる愛、肉の快樂のごときは後者に屬すと
二八―三〇
【他の】世上の
三七―三九
【士師】神
四〇―四二
【我等の】天の
【輪】圓形の砥石をいふ、逆轉して刀にむかへば刃鈍りてその切味《きれあぢ》劣るごとく神の正義の劒慈悲のために鈍るなり
四三―四五
【今】異本、尚深く
【シレーネ】シレーナ(淨、一九・一九―二一註參照)の複數。その歌を聞くは世の快樂の誘ひにあふなり
四六―四八
【涙の種】心のみだれ
【葬られたるわが肉の】わが死の
【異なる】正しき
五五―五七
げに汝はわが死によりて世の無常を觀じ、永遠の生を享くるわが靈を慕ひて向上すべく
【第一の矢】ベアトリーチェの死はダンテが世上の物よりうけし最初の矢即ちほろぶる肉の美のたのむにたらざることを知れる、心の最初の疵なりしなり
五八―六〇
なほも地上の幸を求め虚浮の快樂に欺かれて再び心に疵をうくべきにあらざりき
六一―六三
【羽あるものの】箴言一・一七に曰、すべて鳥の眼の前にて網を張るはいたづらなり
六七―六九
【鬚】童なるざる汝の顏(七三―五行參照)
【見て】わが天上の美を見て、汝がこれを地上の幸に代へしを悔い
七〇―七二
【ヤルバの國】ヤルバス王の治めし國即ちリビア。この吹く風はアフリカ地方より吹く南の風をいひ、本土の風即ち北の方ヨーロッパより吹く北の風に對せしむ
七三―七五
【頤を】木の容易に倒れざるを、ダンテが恥ぢて容易に顏を上げえざるにたとへしなり
七六―七八
【はじめて造られし者】天使。ふりかくる[#「ふりかくる」に白丸傍点]は花をベアトリーチェにふりかくること
七九―八一
【獸】グリフォネ。鷲と獅子とによりて神人の兩性をあらはせるもの(淨、二九・一〇六―八註參照)
八五―八七
【すべてのもの】すべての僞りの快樂
八八―九〇
【者】ベアトリーチェ
九一―九三
【わが心】人我を失ふ時はその心の作用《はたらき》皆内に潜みてあらはれず、このはたらき外にあらはれ諸官を活かしむるに及びてはじめて我にかへるなり
【淑女】マテルダ(淨、二八・三七以下參照)
九七―九九
【汝我に】ウルガータに「汝我にヒソポを注ぎたまふべし」といへる詩篇五一・七の詞。僧が改悔者に淨水をそゝぎてその罪をきよむるときこの歌をうたへりといふ
一〇三―一〇五
【よたり】四大徳の象徴なる(淨、二九・一三〇―三二並びに註參照)。腕にて蔽ふは各※[#二の字点、1−2−22]その徳によりてダンテを護るなり
一〇六―一〇八
【ニンフエ】淨、二九・四―六並びに註參照
【星】淨、一・二二―四並びに註參照)
【まだ世に】世に生れざりしさき。『新生』二六・四三―四に曰、彼は一の奇蹟を示さんとて天より地に降れるものの如く見ゆ
【侍女】寺院の建設、未だ成らざる時にあたりてこの四徳は神意に基づき既に神學のために世に道を備ふるものとなれるなり
一〇九―一一一
【悦びの光】ベアトリーチェの目の中なる悦びの光を充分に見ることをえんため
【三者】教理の三徳を代表するみたりの淑女(淨、二九・一二一以下)。人かの四徳に導かれて神學に到るを得、されどその堂に入ることは神を知ることさらに深きこの三徳の力を借るにあらざれば能はず
一一五―一一七
【縁の珠】ベアトリ
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