トべるなり
一三―一五
最後の審判の日、すべて救はるゝ者|喇叭《らつぱ》の聲をききて再び肉の衣をまとひアレルヤ(默示録、一九・一參照)をうたひつゝその墓より起出るごとく
【再び】再び得たる肉體の聲にてアレルヤをうたひつゝ
異本、再び着たる肉の衣かろらかに
一六―一八
【車】basterna 美しく飾れる車
【永遠の生命の僕と使者】神の僕と使者即ち天使
一九―二一
【來たる】キリスト聖都に入りたまへるとき群集のよろこびてさけべる詞(マタイ、二一・九等)。天使等ベアトリーチェの來らんとするをよろこびてかくいへり
【百合を】Manibus o date lilia plenis!『アエネイス』六・八八三にいづるアンキセスの詞にたゞOの一語を加へしのみ
二五―二七
太陽朝霧に蔽はれていでその光劇しからざるがゆゑに人ながくこれに目をとむるをうるなり
三一―三三
橄欖は智慧と平和のしるし、白は信、縁は望、赤は愛
三四―三六
【かく久しく】一二九〇年ベアトリーチェの死せしよりこの方十年の間ダンテはかの女を見ざりしなり
【彼の前にて】ダンテが驚異の目をもてベアトリーチェを見、深き印象をうけて身を震はせしこと『新生』の處々にいづ
三七―三九
【目の】面※[#「巾+白」、第4水準2−8−83]にかくれてベアトリーチェの顏あきらかにみえざりしなり(六七―九行)
四〇―四五
【童の時過ぎざるさきに】九歳の時(地、二・七〇―二註參照)
四六―四八
【焔】愛。『アエネイス』四・二三に「昔の焔のあとを、我今知る」といへるディトの詞をとれるなり
五二―五四
樂園における一切の歎樂もわが涙(ウェルギリウスの去れるを悲しむ)をとゞむるをえざりき
【昔の母】エヴァ(淨、二九・二以下參照)
【露に淨められ】ウェルギリウスがカトーの命に從ひ草の露をもてダンテの顏を淨めしこと(淨、一・一二一以下參照)
五五―五七
ベアトリーチェの詞
【ほかの劒に】ダンテを責むるベアトリーチェの言に
五八―六六
【己が名】神曲中ダンテの名の見ゆるはたゞこの處のみ
六七―六九
【ミネルヴァの木葉】橄欖。アテナ(ミネルヴァ)がはじめて地より橄欖を生ぜしめしこと神話に見ゆ
七三―七五
【汝は人が】汝は福を享くるに足る人のみこの山に來るをうるを知らざりしか
八二―八四
【主よわが望みは】詩篇第三一篇を一―八まで歌へるなり、ヴルガータにては第八節 pedes meos(わが足を)に終る、天使等これをうたひダンテに代りてベアトリーチェに答へ、彼はダンテの主を待ち望めるを告げしなり
八五―八七
【スキアヴォーニアの風】スラヴォニア、東北の風。スラヴォニアはユーゴスラヴィアの一地方
【イタリアの背】アペンニノ山脈
【生くる梁木】森の樹木
八八―九〇
【陰を失ふ國】アフリカ。日光直下して陰なき時あり
【己の内に】上層の雪南風に溶けて下層に沈み入るをいふ
九一―九三
【とこしへの球の調】諸天の調(天、一・七六以下參照)
九七―九九
【氷】憂ひ
【息と水】歎息と涙
一〇〇―一〇二
【慈悲深き】pie 天使の敬虔にして慈悲あるをあらはせる語
一〇三―一〇五
汝等神の永遠の光の中に常に目さめて萬の事を視、夜と眼に妨げらるゝ間なければ人の世に行はるゝほどの事一として汝等の目より洩るゝはなし
一〇六―一〇八
汝等悉く世人の行爲を知るがゆゑにわが答へは汝等の知らざることを汝等に告げんがためになさるゝにあらず、ダンテをしてよくわが詞をさとらせその罪の大なるに應じてその悔いを大ならしめんがためなり
一〇九―一一一
【諸天】原文、大いなる輪。諸天が自然にその力を人に及ぼしよき星の下に生れし者を善にむかはせあしき星の下に生れし者を惡にむかはしむるをいふ
一一二―一一四
【その雨の】神の惠みの雨人に降れどその降る次第にいたりては人智何ぞこれをきはむるをえむ
一一五―一一七
【生命の新たなるころ】若き時
【すべての良き】天賦の才能をみちびいて若き時の期待に背かざる效果をあぐるをうべかりしに
一二一―一二三
【しばらく】ダンテがベアトリーチェを初めて知りし時よりこの方この戀人の死にいたるまで
一二四―一二六
【第二の齡】人生に四期あり、第一期は Adolescenza(發育時代)といひて二十五歳に終り第二期は Gioventute(壯年時代)といひて四十五歳に終る(『コンヴィヴィオ』四、二四・一以下參照)、ベアトリーチェの死せるはその二十五歳のはじめなれば即ち人生第二期の閾にいたりて一時の生を永遠の生に變へしなり
【他人】他の婦人。地上の事に專らにして天上の事に遠ざかれる意を寓す
一三三―一三五
【默示】神の。ベアトリーチェがダンテの異象の中にあらはれしこと『新生』四〇にその例あり
一三六―一三八
ダンテを正路に呼戻し罪の中より救ふ
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