Aその點にもとづきて線をひき形を作りて卜する者
【大吉】maggior fortuna その所謂大吉なるものは劃點の位置殆んど寶瓶宮の後半と雙魚宮の前半の星を連ねし如し。太陽は今白羊宮にあり、而して雙魚寶瓶の二宮はこれに先だつものなればこれらの星の東にあらはるゝは日出前約二時間なり
【ほどなく白む】日光のため。原文、その(大吉の)ためにしばし暗さを保つ
七―九
【女】シレーナ(一九―二一行)。貪婪、暴食、多淫の象徴なり(五八―六〇行)、これらはその實極めて醜きものなれども人、情に動かされ誤り見て美しとす(一〇―一五行)
一九―二一
【シレーナ】セイレン、神話に曰。セイレンはイタリア西南の海の一島に住む妖女なり、その美しき歌をもて航海者の心を迷はしこれを引きよせて命を斷つと。海[#「海」に白丸傍点]は地中海
二二―二四
【わが歌をもて】異本、わが歌まで
【ウリッセ】オデュセウス。神話によればオデュセウスを迷はせしものはキルケ(チルチェ)にして(地、二六・八八以下)キルケはセイレンにあらず、ホメロスの『オデュセイア』にはオデュセウス、チルチェの教へに從ひ蝋をもて耳を塞ぎてセイレンの難を免かれしことみゆ、ダンテの據る處あきらかならず
【我と親しみて】一たび罪の快樂に耽る者容易に正道に歸らざるの意を寓す
二五―二七
【淑女】註釋者多くはこれを道理の表象となす、異説多し
三一―三三
【とらへ】淑女かのセイレンをとらへ
三四―三六
この一聯すべてムーアの『ダンテ全集』によれり、異本多し、委くは『神曲用語批判』(三九三―四頁)
【門】岩間の徑をいふ
三七―三九
【新しき日】四月十二日午前の太陽
四〇―四二
ダンテは頭をたれ身をかゞめて歩みゐたるなり
四九―五一
【哀れむ者】マタイ、五・四に曰、哀れむ者は福なり。この圈の靈泣き悲しめること前にいづ(淨、一八・九九)
【女王】所有者
【扇げり】ダンテの額上に現れるP字の一を消さんため
五八―六〇
【上】上の三圈即ち貪婪、多食、及び邪淫の罪を淨むるところ
【年へし】世の初めよりありし罪なればなり
【人いかにして】人、道理の光に照らして此等の慾の眞相を觀その誘ひに勝つをいふ
六一―六三
【歩履をはやめ】原、踵に地をうち
【天】原、大いなる海
神は諸天をめぐらしその美を示して汝等を抱けば汝等その招き(餌)に從つて心を天にむかはしめよ(淨、一四・一四八以下參照)
六四―六六
【聲】鷹匠の
【食物】獲物の一部を鷹に與ふる習ひなりきといふ
六七―六九
【環り】環行すべき處即ち第五圈、第五圈は貪婪の罪を淨むるところなり、ダンテは七大罪の分類に從ひ主としてこの罪をあげたれど浪費者も亦この圈に罰せらるゝこと地獄の場合と同じ(淨、二二・四九以下參照)
七三―七五
【わが魂は】詩篇一一九・二五。塵[#「塵」に白丸傍点]は地なり
七六―七八
ウェルギリウスの詞
【義と望み】神の正義に從つて淨めの苦しみをうくとの觀念及び時至れば天に登るを得との信仰
七九―八一
魂(ハドリアヌス)の答へ
【右を】園を右よりめぐれば兩詩人の左は山腹右は圈の外側なり
八二―八四
【かくれたる者】かく我等に答へし靈。靈皆俯むきて伏しゐたれば目にてはそれと知り難かりしも耳にて知りえたりとの意
八五―八七
かの靈と語らんとて目付にて導者に許しを請へるに導者もまた目付にて許しを與へしなり
九一―九三
【物】罪を淨むること。罪の清むるを果實の熟するにたとへしなり
【意】罪を淨むるの願ひ
九七―九九
【ペトルスの繼承者】法王(地、二・二二―四參照)。この法王は名なオットブオノ・デ・フィエースキといひコンチ・ディ・ラヴァーニアと稱するゼーノヴァの貴族の出なり、一二七六年七月選ばれて法王となりハドリアヌス五世と稱し在位三十八日にして死す
一〇〇―一〇二
【流れ】ラヴァーニア
【シェストリとキアーヴェリ】東シエストリ及びキアーヴェリはともにゼーノヴァの東にある町の名
【稱呼】川の名なとりてコンチ・ディ・ラヴァーニアといへり
一〇三―一〇五
われ法王の位にあること僅かに月餘に過ぎざりしかど、よくこの任の甚だ重きを知りえたり
【これを泥に汚さじ】法王の位を辱しめじ
一〇六―一〇八
【虚僞】世の富貴は眞の幸にあらざること
一〇九―一一一
かくの如き榮位をうるも慾心なほ飽かずまた飽かすべき地位なきを見て我は永遠の生命《いのち》眞《まこと》の幸を愛するにいたれり
一一二―一一四
【かの時】法王となれる時
一一五―一一七
【爲すところのこと】精神上に及ぼす惡結果
【苦き】忌むべきさまなる
一二一―一二六
【働】善行
【正しき主の】神の善しとみたまふまで、罪の全く清まるまで
―二七―一二九
【耳を傾け】ダンテを見る能はざれども聲近く聞ゆるによりてその跪けるをさとり
一三〇―
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