クさとられず、そのはたらきによりてはじめてさとられ結果によりてはじめてあらはる
五五―六〇
物を認むる最初の力(理智の基)と物を求むる最初の情(愛慾の基)とは自然に魂に備はるものにてそのいづこより來るやは人知り難し
【最初の願ひ】自然に物を認めてこれを愛する情。自由の愛にあらざるがゆゑに毀譽褒貶を受くべきものにあらず
六一―六三
他の諸※[#二の字点、1−2−22]の愛慾がこの自然の愛と相結び相和するにあたりては即ち自然の愛が自由の愛にうつるにあたりては善惡をわかちてしかして取捨すべき一種の力(理性)汝等の中にあり
六七―六九
古來哲人が徳義を説けるは意志の自由を認めたればなり
七三―七五
【ベアトリーチェ】月天に自由の意志を説く(天、五・一九以下)
七六―七八
【月】四月十一日と十二日の間の夜半近き月。その一面缺くれども猶小さき屋の光を沒するに足る
おくれし[#「おくれし」に白丸傍点]は月出のおそきをいへるにあらずして、夜半近きほどおそき時にみえしをいふ、月の出でしは午後十時の頃なり
【釣瓶】secchion イタリアに用ゐらるゝ金屬製の釣瓶、その形球の上部を切り取れるごとし
七九―八一
十一月後半の頃ローマより見れば日はサールディニアとコルシーカ兩島の間に當る方向(やゝ南にかたよれる西)に沒す
【天に逆ひて】西より東に。即ち諸天の運行に從つて東より西に運行するのほか、その固有の※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]轉によりて西より東に逆行するなり(ムーア『ダンテ研究』第三卷六―七頁並びに脚註同七二頁以下參照)
八二―八四
【マントヴァーナの邑よりも】或ひはマントヴァ(マントヴァーナ)領内の何れの村よりもの意と解する人あり
【ピエートラ】古名アンデス、ウェルギリウスの生地にしてマントヴァ市の附近にあり
【わが負はせし荷】わが彼に負はせし疑ひの荷或ひは、わが負へる荷
八八―九〇
【民】懶惰の罪を淨むる
九一―九三
【イスメーノ、アーソポ】イスメノス、アソポス。テバイ附近の河の名。テバイ人等夜燈火をともし、これらの川の邊に群がり走りてこの町の守護神なるバッコス(バッコ)の助けを求めきといふ
一〇〇―一〇二
熱心の例。マリア、カエサル
【マリア】聖母マリアがその親戚エリザベツを訪はんとて山地なるユダの邑にいそぎてゆけることルカ傳(一・三九)にいづ
【チェーザレ】ユーリウス・カエサル。
カエサル、マルシリア(マッシリア、今のマルセイユ)を圍み、ブルートゥスをこゝにとゞめて急遽イスパニアに赴き、ポムペイウス部下の將アフラニオ等をイレルダ(今のレリダ)に攻む
一〇三―一〇五
【恩惠】神恩
一〇九―一一一
【徑】pertugio(孔又は裂目)掘り穿たれし岩間の徑をいふ、一一四行のbucaこれと同じ
一一五―一一七
【我等の】我等の止まらざるは神の正義に從はんためなれば無禮とみゆとも許せとの意
一一八―一二〇
【バルバロッサ】フリートリヒ一世(一一五二年より一一九〇年まで皇帝)の異名
【ミラーノ】一一六二年。バルパロッサこの市を破壞す
【院主】註釋者或曰。こは一一八七年に死せる「サン・ヅェノ」僧院の院主ゲラルド二世の事を指すと
一二一―一二三
【ひとりの者】ヴェロナの君アルベルト・デルラ・スカーラ(一三〇一年死)。一二九二年その庶子ジュセッペをかの僧院の主となせり
一二四―一二六
【身全からず】跪者なりきといふ、モーゼの律法に從へば不具者聖職を奉ずるをえず(レビ、二一・一七以下)
一三〇―一三二
【噛み】懶惰の罰せられし例をあげてこの罰を責むるをいふ
一三三―一三五
罰の第一例、イスラエル人。水分たれし紅海を渡りて、エヂプトよりのがれいでしイスラエル人(出エヂプト、一四・二一以下)は神の人モーゼの教へを守らざりしため、ヨルダン川の流るゝ地パレスティナに到らずして死せり(ヨシュア、五・六)
一三六―一三八
罰の第二例、アエネアスの侶等。アンキセスの子アエネアスと漂流の苦しみを最後まで倶にする能はざりしトロイア人は譽を棄ててシケリアに殘れり(『アエネイス』五・七〇〇以下參照)
第十九曲
ダンテ夢にセイレン(シレーナ)を見、さめて後天使に導かれてウェルギリウスとともに第五圈に達す、こゝには貪慾の罪を淨むる魂の俯きて地に伏せるあり、その一法王ハドリアヌス五世ダンテとかたる
一―三
明方近き時(地、二六・七―一二並びに註參照)
【地球】前日の暑さの空中又は地上に殘れるもの冷やかなる地球のために消ゆ
【土星】古、土屋に熱を消す力ありとおもへるによる
【月】月はその光によりて空氣と地球を冷却すとおもへるなり、月の寒さ[#「月の寒さ」に白丸傍点]といふは猶夜の寒さといふごとし
四―六
【ゼオマンティ等】geomanti 偶然に地上に劃點し
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