オ頃
一一八―一二〇
己あしきため善人と語りまたはこれに近づくことをすら恥づる者今は恐れずしてかの地を過ぐるを得、かの地に善人なければなり
一二一―一二三
【神の己を】かの敗徳の地を去りて神の許に歸るをうる日を待侘《まちわぶ》る三人の翁
一二四―一二六
【クルラード・ダ・パラッツオ】ブレッシアの貴族
【ゲラルド】ゲラルド・ダ・カーミノ。トレヴィーゾの人にて長くこの町を治めしもの(一三〇六年死)、ダンテ『コンヴィヴィオ』の中に(四、一四・一一四以下)その徳を稱せり
【グイード・ダ・カステル】レッジオの人
【ロムバルド】(ロムバルディアの人)グイードはこの異名によりて却つてよく知らるとの意、フランス人云々については或ひはグイードの聞えフランス人の間に高く彼等グイードを呼ぶにこの異名を以てせりといひ或ひはフランス人はイタリア人をおしなべてロムバルドと呼べりともいふ
一二七―一二九
【荷】政教の
一三〇―一三二
【レーヴィ】イスラエルの民の中なる僧侶の族にて代々産業をうくるをえず(民數紀略一八・二三)。ダンテはマルコの言を聞きて寺院の徒に俗慾に腐心するの非なるを思ひ、レーヴィの族が專心神に事ふるをえんため産業に與かる能はざりし次第をさとりえたりとの意
一三三―一三五
【消えにし民】昔の民(文武の徳あまねかりし頃の)
一三六―一三八
我汝の言を聞き違へたるか或ひは汝我になほもゲラルドの事をいはしめんとてかくいひて我を試むるか、汝トスカーナの者にして少しも彼の事を知らざる筈なし
【トスカーナ】ゲラルドの名はトスカーナにて最も人に知られきといふ
一三九―一四一
我若し彼をゲラルドと呼ばずばガイアの父といふの外なし
【ガイア】ゲラルドの女(一三一一年死)、素行修まらざるを以て知らるといふ(但し異説あり、されど思ふにこゝにては善き父と惡しき子とを對照せるならむ)
一四二―一四四
【光】天使よりいづる
【彼に見えざるさきに】罪未だ清まらざるがゆゑに天使の前にいづるをえず


    第十七曲

ウェルギリウスとともに黒烟をいでて後ダンテまづ忿怒の罰の例を異象に觀、次で天使の教へに從ひ階を上りて第四圈即ち懶惰の罪の淨めらるゝ處にいたる、この時日既に暮れてまた進むこと能はざれば導者はこゝにダンテのために人間の愛慾を論じ、淨火の罪の分類を明かにす
一―三
【※[#「鼬」の「由」に代えて「晏」、第3水準1−94−84]鼠】※[#「鼬」の「由」に代えて「晏」、第3水準1−94−84]鼠の眼は薄き膜に蔽はれて物を見る能はずといへる古説によれり
七―九
【第一に】畑をいでて第一に
一〇―一二
【雲】黒烟
【水際に死せる】水際即ち山麓を照らさざる
一三―一五
【外部より奪ふ】外物の刺激を人に感ぜしめざる
一六―一八
想像の力を刺激してこれを活動せしむるもの官能にあらざるときは即ち星辰若くは天意なり
【光】力。天より出づる力は或ひは星辰の影響により(自ら[#「自ら」に白丸傍点])或ひは上帝の聖旨(意志[#「意志」に白丸傍点])によりて人の想像を刺激す
一九―二一
怒りの罰の第一例、プロクネ(プロニエ)
【鳥】鶯
【女】プロクネ。トラキア王テレウスの妻なり、その妹ピロメラ、テレウスに辱しめられしとき、仇を報いんため己とテレウスの間の子イテュスを殺し、夫を欺いてこれが肉をくらはしむ、神々即ちその罪を惡み化して鳥となす(オウィディウス『メタモルフォセス』六・四一二以下參照)
ギリシアの物語によればプロクネは鶯にピロメラは燕に化し、ラテンの物語によれば前者は燕に後者は鶯に化す、ダンテはギリシアの物語に從へり
二二―二四
【わが魂は】心異象にのみ凝りて外部の印象をうけざるをいふ
二五―三〇
第二例、ハマン。ハマンはペルシア王アハシュエロス(アッスエロ)の臣なり、君寵淺からず諸民跪きてこれを拜す、しかるにユダヤ人モルデカイ(マルドケオ)なるもの獨りこれを敬はざりしかばハマン大いに怒り諸州のユダヤ人を悉く殺さんと謀れり、王妃エステルこの謀を王に告げハマン遂に木に懸けて殺さる(エステル書、三以下)
三四―三九
第三例、アマータ。ラチオ人の王ラティヌスの妻なり、アエネアスの軍近づくを見てこれと戰へるツルヌス(女婿となるの約ありし)既に死せりと思ひその女ラウィニアがかの漂流の客アエネアスの妻とならんこと恐れ怨みの餘り縊りて死す(『アエネイス』一二・五九五以下參照)
【處女】ラウィニア
【かの人】ツルヌス(地、一・一〇六―八並びに註參照)
四〇―四二
【消えざるさきに】睡り未だ全く去らずしばらく覺醒と戰ひ眠れる者をして夢現の間にさまよはしむるをいふ、ダンテの異象の一時に消え失せずしてなほしばらく眼前にちらつきたるにたとへしなり
四二―四五
【見慣るゝ光】日光
【もの】天使の光
四九―五
前へ 次へ
全99ページ中75ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
山川 丙三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング