フ二語にはじまる
神の羔、世の罪を取去りたまふものよ、我等を憐みたまへ
神の羔、世の罪を取去りたまふものよ、我等を憐みたまへ
神の羔、世の罪を取去りたまふものよ、我等に平安を與へたまへ
二二―二四
【怒りの結を】怒りの罪を淨む
二五―二七
【いまだ】猶世に生くる者のごとく
【月】calendi(各月の第一日)。永遠の世にては時をかく分つことなし
三一―三三
【奇しき事】生者にして冥界に旅すること
三四―三六
【行くをうる】罪を淨むる者烟の外に出づる能はず、されどその内にては進むも退くも自由なるに似たり
三七―三九
【纏布】肉體
四〇―四二
【近代に】使徒パウロ以來(地、二・二八以下參照)
四六―四八
【ロムバルディアの者】Lombardo 或曰。ロムバルドは國を指せるにあらず、マルコがヴェネツィアのロムバルディ家の出なればかくいへるなりと
【マルコ】十三世紀の人、傳不詳
【ひとりだに狙ふ人なき】原文、人みな弓を弛むべし
四九―五一
【高き處】天の王宮
五二―五四
【死すべし】その苦しみに堪へずして
五五―五七
この疑ひ(世の腐敗の原因に關する)はさきにグイード・デル・ドゥーカよりイタリアの罪惡を聞きしとき(淨、一四・二九以下)既に起れるものなるが今また汝より人類のおしなべて徳に遠ざかることを聞き彼此相對比していよいよ世の眞相をたしかめ疑ひ從つていよ/\深し
【これと連なる事】わがこの疑ひに關すること即ち世の腐敗
【こゝにもかしこにる】マルコの言とグイードの言とを指す。ダンテはマルコの言によりてマルコ自らいへることとグイードのいへることとの眞なるをかたく信ずるにいたれるなり
六一―六三
【或者】或者は世の墮落を星辰(諸天)の人間に及ぼす影響に歸し、或者はこれを人間の惡に傾く性情、その自由の意志の濫用に嫁す
六四―六六
【汝まことに】汝の無智は汝が世より來り世に屬する者なるを示す
七〇―七二
善惡の應報は自由の意志を豫想す
七三―七五
【天は】星辰の影響は人慾の最初の作用に及べどもその作用の全體に及ぶにあらず(星辰以外の影響あり)
七六―七八
【天と戰ふ】星辰の人慾に及ぼす影響と戰ふ。自由の意志もしこの戰ひに勝ちて而して後修養を經れば遂に何物の影響をもうけざるにいたる
七九―八一
汝等は神の大能の下に屬してしかして自由を失はず、この大能は星辰の力の左右し能はざる理智の魂を汝等に賦與す
八二―八四
【明かに】原文、眞《まこと》の説明者とならむ。spia は穿鑿者の義より轉じて説明者若くは報告者の意に用ゐられしもの
八五―九三
創造の初めに於ては人の魂無邪氣にして思慮なくたゞ本能に從つて己を樂します物にむかふ、かくて世の幸を味ふに及び、これに欺かれて以て眞《まこと》の幸となしたゞこれをのみ追ひ求む
【未だあらざるさきより】人の魂はそのいまだ造られざるさきに既に神の聖意《みこころ》の中に存在す、神見てこれを善しとしたまふ
【導者か銜】皇帝(及び法王)か律法、もしその愛慾を正しき道に向はしめずば
九四―九六
【眞の都の塔】天の王宮の塔如ち正義
九七―九九
【手をこれにつくる者】律法を施行する者
【牧者】法王
【※[#「齒+台」、第4水準2−94−79]む】モーゼの律法はイスラエル人が反芻せず蹄分れざる獸の肉を食ふことを禁ぜり(レビ、一一・三以下)
註釋者曰。反芻は智をあらはし雙蹄は善惡の別をあらはす、即ち法王が聖典の事に通ずれども善惡の別をあきらかにせず、天上の幸を顧みずして地上の幸をのみ求め、帝王に代りて正義を行ふ能はざるをいふと
一〇〇―一〇二
【幸】地上の。民その導者に傚ひて地上の慾を追ひ、靈の幸を求むることなし
一〇三―一〇五
かく見來れば世の腐敗の原因は星辰にあらずして人間にあり、人間にありと雖もこは人の性惡しきの謂にあらずして治者の指導その宜しきをえざるの謂なり
一〇六―一〇八
【二の日】二の主權即ち皇帝と法王(地、三四・六七―九註參照)
一〇九―一一一
【一は】然るにその後法王の權は皇帝の權を奪ひ、地上の權は靈界の權に合せらる
【杖】pastorale 僧官のしるしの杖
一一二―一一四
【恐れざれば】二個の獨立せる主權相扶掖してはじめて治國の道を全うす、しかるに政教一途よりいづれば互ひに相顧みて警戒するの要なく互ひに相助くるの要なきがゆゑに從つてその權を恣にするにいたる
【穗を】二主權混合の結果のいかなるやを思ふべし、すべて草木の善惡はその結ぶ實によりて知らるゝなり(マタイ、七・一六以下參照)
一一五―一一七
以下實例を擧げて政教混亂の禍ひを示せり
【國】ロムバルディア。アデーチエ(アディージェ)及びポーの兩河の流るゝ國
【フェデリーゴ】皇帝フリートリヒ二世(地、一〇・一一八―二〇註參照)。フリートリヒがいまだ法王と爭はざり
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