トロイアの異名。或曰、トロイアは町、イリオンは城の名と
六四―六六
【陰と線】線は像の輪郭をいひ、陰は高低をあらはす輪郭内の變化をいふ
【墨筆】stile 鉛錫等にて作れる筆にて最初の輪郭をあらはすに用ゐるもの
六七―六九
【面見し】原文、事實を見し。實際にそれ/″\の事柄を目撃せるをいふ
七〇―七二
【エーヴァの子等】人類。ダンテは世人が古來慢心の罰せられたる多くの例あるをおもはずして相率ゐてこの罪に陷るを嘲れるなり
七三―七五
思へるよりも時の早く過ぎたるをいふ
【繋はなれぬ】彫像にのみ心奪はれて他の事を思ふの餘地なき(淨、四・一以下參照)
【さらに多く】詩人等の歩みおそければ
七九―八一
【第六の侍婢】時を晝の侍女といへり、故に今は晝の第六時の終り即ち正午なり
九一―九三
【今より後】誇りの罪除かれたれば(一一八行以下參照)
九四―九六
ダンテの叫びか天使の詞かあきらかならず
【報知】天使の言を指す、これを聞く者の罕なるは謙遜の人の少なきなり
【高く】天に昇らんために生れし人類よ、汝等誇りの誘ひにあひ世の榮光をのみ求めて地に墜るは何故ぞ
九七―九九
【額を打ち】七のP(淨、九・一一二)の一を消せるなり(一三三―五行參照)
一〇〇―一〇八
第一圈より第二圈に到る徑《こみち》の階《きざはし》を、フィレンツェ市外の一丘モンテ・アルレ・クローチ(Monte alle Croci)の階と比較せるなり
【ルバコンテ】アルノ河に架せる橋の名、今は改めてポンテ・アルレ・グラーチエといふ
【邑】フィレンツェ。非政を嘲りて反語を用ゐしなり
【寺】「サン・ミニアート・ア・モンテ」(San Min iata a Monte)といふ、モンテ・アルレ・クローチの上にあり
【右にあたり】山門をくぐりて登りゆけばしばらくにして路二つにわかる、こゝにしるせし階はそのうちの右の路にあり
【文書と樽板】當時フィレンツェに行はれし二大詐僞をあぐ
一二九九年フィレンツェのポデスタ、モンフィオリートなる者不正の行爲ありて免官せられし時その自白の中にメッセル、ニッコラ・アッチヤイオリのため虚僞の陳述を人になさしめきとの一事あり、ニッコラ聞きて、その發覺を防がんと欲しメッセル・バルト・ダグリオネ(天、一六・五五―七參照)と共謀して市の記録の中より己に不利なる事項を抹殺せり
またこの頃鹽の出納役なりしキアラモンテージ家の一人、市より鹽を受取る時は普通の量器を用ゐ、これを市民に賣渡す時は樽板一枚を取去りて小さくせるものを用ゐ、以て不正の利を貪れりといふ
【安全なりし世に】かゝる惡事の行はれざりし昔
【右にも左にも】この階のモンテ・アルレ・クローチの階と異なるところは、その甚だ狹くして登るとき左右の石身に觸るゝにあり
一〇九―一一一
【聲】voci この語も Cantaron(歌へり)も共に複數なれば歌へる者の何なるやにつきては異説多し、但し他の多くの場合と同じくこれを以てPの一を消せし天使なりとし voci を parole(詞)の義に解し又は複數を單數の意に用ゐしものと解する人あり(ムーア『批判』四一〇六頁參照)
【靈の貧しき者】マタイ、五・三。一の罪淨まれば天使その額より一のPを消しかつキリスト山上の垂訓の始めなる九福の一句を歌ふを例とす、讀者その句と淨めらるゝ罪と相關聯するを思ふべし
一一五―一一七
【平地】第一圈の
一二一―一二三
【消ゆるばかりに】人慢心によりて神を離れ、神を離るゝによりて諸惡を行ふ、故に慢心は即ち諸惡の根源なり(箴言二一・四參照)慢心滅すれば他の罪亦皆消ゆるに近し
一二七―一三二
頭に羽毛などのつきたるを知らずして歩む者、人の笑ふをきゝてはじめて異しと思ひ、手をもてさぐり求むる類
一三三―一三五
【鑰を持つもの】淨火の門を守る天使(淨、九・一一二―四)
第十三曲
詩人等第二圈即ち嫉妬の罪の淨めらるゝところにいたれば愛の例をあぐる聲きこゆ、また毛の衣を着、瞼を縫はれて岩石の邊に坐せる多くの魂あり、その一シエーナのサピーア己が境遇をダンテに告ぐ
一―三
【截りとられ】山の側面きりひらかれて圓形の路を成すをいふ
四―六
【弧線】第二圈は第一圈よりも小さければ圈の弧線の彎曲すること從つて急なり
七―九
【象も文も】或ひは、陰も線も。石面に彫像なきをいふ
一〇―一二
【選ぶこと】路を
一三―一五
【身を】原文、右脇を動《うごき》の中心として身の左方をめぐらし。日右にありたれば身をめぐらして右にむかへるなり
一六―一八
【光】比喩の意にては神恩の光
一九―二一
【故ありて】罪のために
二五―二七
【愛の食卓】愛は嫉妬と相反す、愛の食卓に招くは愛の例を告げ示して罪を淨むる魂に愛心を養ふを求むるなり
この圈の魂はその瞼を縫はれて(七〇―七二行)物
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