となせり 一九―二一
長途我等を促せばいざ行かむ、かくして彼さきに入り、かくして我をみちびきぬ、淵をめぐれる第一の獄《ひとや》の中に 二二―二四
耳にてはかるに、こゝにはとこしへの空《そら》をふるはす大息《ためいき》のほか歎聲《なげき》なし 二五―二七
こは苛責の苦なきなやみよりいづ、またこのなやみをうくるは稚兒《をさなご》、女、男の數多き、大いなる群《むれ》なりき 二八―三〇
善き師我に、汝これらの魂をみてその何なるやを問はざるならずや、いざ汝なほさきに行かざるまに知るべし 三一―三三
彼等は罪を犯せるにあらず、嘉《よみ》すべきことはありとも汝がいだく信仰の一部なる洗禮《バッテスモ》をうけざるが故になほたらず 三四―三六
またクリストの教へのさきに世にありたれば神があがむるの道をつくさゞりき、我も亦このひとりなり 三七―三九
われらの救ひを失へるはほかに罪あるためならず、たゞこの虧處《おちど》のためなれば我等はたゞ願ひありて望みなき生命《いのち》をこゝにわぶるのみ 四〇―四二
われこの言をきくにおよびてリムボに懸れるいとたふとき民あるをしり、深き憂ひはわが心をとらへき 四三―四五

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