その蒔かれその生れし處と時と種《たね》とを誹《そし》れり 一〇三―一〇五
かくて彼等みないたく泣き、すべて神をおそれざる人を待つ禍ひの岸に寄りつどへり 一〇六―一〇八
目は熾火《おきび》のごとくなる鬼のカロン、その意《こゝろ》を示してみな彼等を集め、後るゝ者あれば櫂にて打てり 一〇九―一一一
たとへば秋の木《こ》の葉の一葉《ひとは》散りまた一葉ちり、枝はその衣《ころも》を殘りなく地にをさむるにいたるがごとく 一一二―一一四
アダモの惡しき裔《すゑ》は示しにしたがひ、あひついで水際《みぎは》をくだり、さながら呼ばるゝ鳥に似たり 一一五―一一七
かくして彼等|黯《くろず》める波を越えゆき、いまだかなたに下立《おりた》たぬまにこなたには既にあらたに集まれる群《むれ》あり 一一八―一二〇
志厚き師曰ひけるは、わが子よ、神の怒りのうちに死せるもの萬國より來りてみなこゝに集《つど》ふ 一二一―一二三
その川を渡るをいそぐは神の義これをむちうちて恐れを願ひにかはらしむればなり 一二四―一二六
善き魂この處を過ぐることなし、さればカロン汝にむかひてつぶやくとも、汝いまその言の意義をしるをえん 一二七―
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