Vを殺せり
カクスの物語は『アエネイス』八・一九三―二六七にくはし、されどウェルギリウスのカクスは半人半獸なれどもケンタウロスにはあらざりしものゝ如くまた自ら口より火と煙を吐けり
【血の潮】近郷を掠め畜類を奪ひ來りて屠れるなり、『アエネイス』には、地には常に新しき血汐のぬくみあり云々といへり
二八―三〇
【兄弟等】他のケンタウロスは皆第七の地獄(地、一二・五五以下)にあれどもカクスのみは盜なりしため第八の地獄にあり
三一―三三
【十をも】ヘラクレス(神話中最著名の英傑)の棍棒にて打たるゝことあまた度に及びしかも幾度にもいたらざる中早くも絶え果てたれば其餘の打撃は身に覺えしらざりしなり
三四―三六
【三の魂】アーニエル(六八行)、ブオソ(一四〇行)、ブッチオ(一四八行)
四〇―四五
【チヤンファ】フィレンツェ市ドナーティ家の者にグエルフィ黨に屬せる盜なりきといふ(十三世紀の末)、委しき事古註にも見えず
【指】指を唇にあてゝ導者に沈默を求めしなり
四九―五一
【蛇】チヤンファの變形せるもの
五八―六〇
【獸】尋常ならぬ動物
六一―六三
【彼も此も】人の色も蛇の色も
六四―六六
白と黒との間の色いづるを人と蛇との間の色いづるにたとへしなり
【紙】當時綿より作れる一種の紙ありし事古註によりてしらる、されど一説に曰、papiro は紙にあらずして燈心(乃ち細藺のなかご)なりと
六七―六九
【アーニエル】(アーニエルロ、或ひはアーニオロ)、古註にフィレンツェの貴族ブルネルレスキ家の者といへり
七三―七五
【四の片】人の兩腕と蛇の二の前足
七六―七八
【二にみえて】人と蛇とをかねし如くみえしかもいづれともつかざるなり
七九―八一
【笞】熱
八二―八四
【小蛇】カヴァルカンティ(一五一行註)の變形せるもの
八五―八七
【ひとり】ブオソ
【人はじめて】生兒胎内にありて母體より滋養をうくるところ即ち臍
九一―九三
【烟】人は人蛇は蛇の自然性を互に吐き出し烟のまじると共に變形の作用を起すなり
九四―九六
【ルカーノ】ルカヌス(地、四・九〇)、『ファルサリア』九・七六一以下にカトーがリビヤの砂漠を過ぎし時部下のザベルルス(ザベルロ)なる者セプスと名づくる蛇に噛まれ肉忽ちくづれ落ちて一扼の灰となり同ナッシディオなる者プレステルと呼ばるゝ蛇に噛まれ全身腫れあがりて胸甲裂け破るゝにいたれることい
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