Bオレンツァ】フィレンツェ(フィオレンツァ)にては事これに反し、表に兩黨の調和を裝ひひそかに法王の意を行へるシャルル・ド・ヴァロア、フランスより來れる爲一三〇一年に入りて白黨勢衰へ翌二年の始めにはこの黨に屬する者多く市外に逐はるゝにいたれり
【習俗】市の政權黒黨の手にうつるをいふ
一四五―一四七
【マルテ】マルス(ギリシアではアレス)軍の神
【ヴァル・ディ・マーグラ】マークラ川の流るゝ溪、ルーニジアーナ(地、二〇・四六―八註參照)にあり
【火氣】電光即ち猛將モロエルロ・マラスピーナを指す、モロエルロは侯爵マンフレディ一世の子にてルーニジアーナに君たり。一三〇二年さきにピストイアを逐はれし黒黨及びフィレンツェ、ルッカの黒黨を率ゐてピストイアを攻む
亂雲は戰雲(或曰、黒黨の士卒と)なり
一四八―一五〇
【カムポ・ピチェン】不明、一説にはこはピストイア附近の一地方にてこの戰ひは一三〇二年五月マラスピーナがセルラヴァルレの城砦を陷れたるを指せりといひ又一説にはこはピストイアを含める一地方にてこの戰ひは一三〇六年四月ピストイアの陷落せるを指せりといふ
第二十五曲
詩人等なほ同じ處にとゞまりてフィレンツェの盜人等の不思議なる變形を見る
一―三
【雙手を握り】原語 fiche は拇指を中指食指の間より出して手を握ることにて人を侮り嘲る時の野卑なる仕打なり
一〇―一二
【祖先】ピストイア市を初めて建てし人々、傳説によればピストイアはローマの賊將カチリーナ(前六一年死)の死後その殘餘の部下の建てしところなりといふ
一三―一五
【落ちし者】カパネオス(地、一四・四六以下)
一六―一八
【チェンタウロ】ケンタウロス、地、一二・五五―七註參照、この者ヴァンニを追ひ來れるなり
一九―二一
【マレムマ】海に沿へるトスカーナ州一帶の地、沼澤多く沃野少なし(地、一三・七―九註參照)
二五―二七
【カーコ】カクス、神話に出づる名高き盜人、ローマ七丘の一なるアヴェンティーノ(アヴェティヌス)山に住みし巨人なり、ヘラクレス、ジェネーリオネの牛を奪ひイスパニアより本國ギリシアに歸らんとてアヴェンティヌスの岩穴近く來れる時カクスはヘラクレスの眠れる間に若干の牛を盜みいだしその足跡をくらまさんため尾を曳きて逆行せしめ己が棲家にかくし置きたり、されどヘラクレス鳴聲によりてその所在を知り巨人を襲うて
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