ラたりと答へきといふことローマ詩人テレンティウス(前二世紀)の喜劇『エウヌクス』三幕一場の始めにありといふ
或曰、キケロの『友情について』にいづるタイスの物語には對話者の誰なりといふことあきらかならず、さればダンテこの書によりてトラソオが直接タイスに問へる如く記せしなるべしと
第十九曲
第三嚢にはシモニアを行へるものあり倒さまに孔の中にいけられたゞ足のみな外にいだし且つそのあしうら火に燒かる、詩人等堤を下りてそのひとりニコラウス三世とかたり後第四嚢の橋上にいづ
一―六
【シモン・マーゴ】(魔術者シモン)、サマーリアに住める魔術者にて使徒ピリポより洗禮を受けし後錢を持來りペテロ及びヨハネに聖靈を授くる力を與へんことを求めし者(使徒八・九―二四)
「シモニア」なる語(地、一一・五五―六〇註參照)はこのシモンよりいでしなり
【今喇叭は】われ今こゝに汝等の罪業を公にすべし
七―九
或ひは、我等既に石橋のまさしく濠の眞中にあたれるところに登りて次の墓(乃ち第三嚢)の上にありき
【次の】第三嚢の上なる弓門の
一〇―一二
【禍ひの世】地獄
【頒ち】賞罰を
一六―二一
【聖ジョヴァンニ】フィレンツェ市にある聖ジョヴァンニの洗禮所
堂内には中央の柱をめぐれる一大水盤あり水盤の外部を固めし大理石の中には四ケ所に長圓形の孔を設け僧の稚兒に洗禮を授くる時この中に立ち水に近きと(當時すべて浸禮を用ゐしなり)群集を避くるの便あるをはかれりといふ
【碎ける】古註曰ふ、曾て堂内に群集雜沓して孔のあたりに爭へることありしに一人の小兒その中に陷り人々これを引出さんとつとめしも能はざりしかばダンテ斧を揮つて大理石を破壞し小兒を死より救へるなりと
【人の誤り】聖物破壞の事をあしざまにいひ傳ふる人ありしより理由をあげてその妄を辯ぜるなり
二五―二七
【綱、組緒】ritorte は若枝を搓りて作れる綱 strambe は草をあみて作れる綱(或ひは若枝を組合せて作れる綱ともいふ)
三一―三三
【猛き】異本、赤き
三四―三六
【低き】第八の地獄は中央の坎に向ひ次第に下方に傾斜するが故に内の岸は外の岸より低し(地、一八・一―三註參照)
三七―三九
【默して】地、一〇・一六以下及び地、一六・一一八以下參照
四三―四五
【脛にて】脛を振りて苦をあらはすものゝ孔あるところ
四九―五一
詮釋者曰、中古の刑罰に
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