―一三二
【レーテ】一三六―八行註參照、ウェルギリウス未だレーテの事をいはず、フレジェトンタは巨人の罪の涙より成るといへり
一三三―一三五
【煮ゆる紅の水】第一の圓の河水赤く湧くをみてそのフレジェトンタなるを知りうべかりきとなり
ウェルギリウスはダンテの『アエネイス』に精しきを知りてかくいへり、この歌六・五五〇―五一に、冥府の急流フレジェトンタその迸る焔をもてこれをめぐり云々とあり
一三六―一三八
レーテ(忘るゝ義)の川は地獄の外淨火に穢れを淨むる魂己を洗はんとてゆくところにあり(淨、二八・一二一以下)


    第十五曲

兩詩人フレジェトンタの堤を傳ひて進み第三の圓第二種の罪人乃ち自然を亂せる者(男色)の火の雨にうたれつゝ砂上を歩み來るをみる、その中にブルネット・ラティーニあり己が群を離れてダンテと共にゆきその將來を豫言しまたその群の中の主なる罪人の名をこれに告ぐ
四―六
【グイッツァンテ】(乃ちウィサント)ダンテ時代のフランドル(フィアンドラ)の西端カレーに近き町
【ブルッジア】ブルージェ、同東端の町
兩地の間約六十五哩にて略※[#二の字点、1−2−22]フィランドルの海邊(今のフランスの東北端とベルギーの一部の)といふに同じ、土地低きが故に海水の浸入を防がんため堤防を築く
七―九
【ブレンタ】アルピの峰よりパードヴァの町のほとりに流れ下る川
【キアレンターナ】バードヴァの北の山地にてブレンタの水源地をも含む、この山地の雪春日の熱をうくれば溶けて流れて河水ために氾濫す
一〇―一二
【誰にてもあれ】神か天使か惡魔か(地、三一・八五參照)
二二―二四
【裾】岸高く砂低ければなり
二五―三〇
【わが顏を】異本、手を
【セル・ブルネット】ブルネット・ラティーニ、一二一〇年頃、フィレンツェに生る。哲學文學に通じまたグエルフィ黨に屬して時の政治に干與せり、一二六〇年モンタペルティの戰ひの後、グエルフィ黨の首領と共に郷土を追はれフランスのパリに赴き久しくこゝに止まりてその間佛文『テゾーロ』を編せり、後再びフィレンツェに歸り一二九四年に死す、「セル」は、ブルネットが逐客とならざりし前公證人たりしことあればその尊稱をここにも用ゐしなり
四九―五〇
【齡未だ滿たざるに】未だ人生の半乃ち頂點に達せざるに、備へ未だ全く成らざるに
ダンテの林に迷ひ入れるは神曲示現の以前にあり
五二―
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