【大いなる者】カバネウス、テバイを圍める際ゼウスの怒りに觸れその電光に撃たれて死す(六七―七二註參照)
【熟ましめじ】火の雨もその慢心を挫く能はず、果實の始めは固く酸くして後は軟かく甘きに譬へしなり
五二―五四
【ジョーヴェ】ゼウス。ギリシア・ローマの神話にいづる神
カパネウスの神は昔の神にしてキリスト教の神にあらず、彼は全く智能の功徳を失ひ(地、三・一八)我を罰する神の何たるを知らざるなり、ダンテがこゝに神を侮るものゝ代表者としてカパネウスをあげしはその神と信ずる者にむかひて不遜なる點よりみれば名異なるも實同じきを以てなり、淨、六・一一八にダンテ自らキリスト教の神をジョーヴェと呼べることあるをおもふべし
【鍛工】ヴルカーノ(ヴルカヌス又はヘファイストス)。ゼウスの子にして火の神なり、神話に曰ふ、この神エトナ山中の工場にてゼウス神のためにその電光の矢を鍛へりと
五五―六〇
【フレーグラ】プレグライ。ギリシアのテッサリアの曠原、ゼウスと巨人軍との戰ひありしところ
【モンジベルロ】エトナ山の古名なり、シケリア島にある火山にてヘファイストスの鍛工場ありしところ
【鍛工等】キクロペ(チクロピ)と稱する一眼の巨人等、ヘファイストスをたすけてエトナの工場に鐡鎚をふるふ
六一―六六
【劇しき怒り】怒りて自ら苦しむは神の刑罰をいよ/\大ならしむるに外ならず
六七―七二
【七王】ギリシアの七王、カパネウス、アドラストス、テュデウス、ヒッポメドン、アンフィアラオス、パルテノパイオス、ポリュネィケス
テバイ王オイデプスとイオカステの間に二兒あり、エテオクレス、ポリュネィケスといふ、父オイデプスの後を承け年毎に交代してテバイを治むる約ありしにエテオクレス時至るもなほ弟に讓るを肯はざらしかば、ポリュネィケスこゝに諸王をかたらひその助けを得て軍を起しテバイを攻む、是即ち七王の役なり
七六―七八
【小川】フレジェトンタ(一三一行)、地獄の川の一、第一の圓の血の河自殺者の森の下を過ぎてこゝに流れ下れるなり
七九―八一
【ブリカーメ】ヴィテルボを距る二哩にある温泉の名、この水集まりて池となり池より一の細流いづ(ダンテ時代に)、こゝにては水の湧くと流れの急なるとをくらべしなり
【罪ある女等】遊女等、彼等他の婦人と混じて浴を取る能はず少しく水源地を離れしところより各戸に水を引きて己が浴場の用となせりと
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