の門を守る怪犬、頭三ありて尾は蛇なり
一六―一八
【噛み】異本、皮剥ぎ
二二―二四
【蟲】姿の忌むべく怒るべきをいへるなり、他の生物を蟲とよべること聖書に例多し(イザヤ、四一・一四、詩篇二二・六等參照)
三四―三六
あゝ姿のほか凡て空しき魂よ(淨、二・七九)
されど地、三二にはダンテがボッカといへる罪人の頭を蹴りまたその毛髮を拔きしことあり(七八行及び一〇三行以下)
三七―三九
【ひとり】チヤッコ、フィレンツェの人にてボッカッチョが食をたしなむこと何人にも劣らじといへるものなり
四〇―四二
【わが毀たれぬ】チヤッコいまだ死なざるさきにダンテ生れしをいふ(或曰、チヤッコは一二八六年に死すと)
四九―五一
【汝の邑】フィレンツェ、黒白兩黨の爭ひ皆權勢の嫉みより起れり
五二―五四
【チヤッコ】或人はこれを食を貪るを嘲りて呼べる綽名(豚の義)なりといひ或人はジャコモの略名といひ或人は普通の家名にてフィレンツェには今もチヤッキ家なるものありといへり
五八―六三
【もし知らば】ダンテは既に魂のよく未來を知るを聞きゐたればこの問を起せるなり(地、二・二五―七註參照)
【分れし邑】フィレンツェ
一二一五年この方フィレンツェはグエルフィ、ギベルリニの兩黨に分る、十三世紀の末グエルフィ黨、獨り權勢を得て爭亂一時鎭靜に歸せしもピストイアに生ぜし黒白兩黨の軋轢ひいて濁波をフィレンツェに揚げチェルキ、ドナーティ兩家の確執となり次第にその範圍をひろくし一三〇〇年の始めにいたりて遂に激烈なる黒白の爭ひをこゝに見るにいたれるなり
六四―六六
【長き爭ひ】チェルキ、ドナーティ兩家の互に敵視せるは一二八〇年にはじまれり、前者は白黨を後者は黒黨を率ゆ
【鄙の徒黨】ビアンキ(白黨)
チェルキ家はヴァル・ディ・シエヴェといふ片田舍より來れる粗野の民なりき
【敵を逐ふべし】一三〇一年五月ネーリ(黒黨)フィレンツェの市外に逐はる
六七―六九
【三年の間】原文、三の日輪の間に(地、二九・一〇五參照)すなはちチヤッコの語れる時より三年の間に
白黨の逐はるゝにいたりしは一三〇二年の四月四日にしてチヤッコの豫言は一三〇〇年の四月八日なれば誠はこの事二年の間に起れるなり、これにつきスカルタッチニ(G. A. Scartazzini)は曰く、ダンテのかく三年といへるは(一)三の數を好みて用ゐしによるか(二)歴史傳記と異なり
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