鵙征伐
夢野久作
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)鵙《もず》に捕えられて
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お父さんの蛙が田圃へ虫とりに行ったまま帰って来ませんので、お神さんの蛙と子供の蛙が心配をして探しに行きましたら、かわいそうにお父さん蛙は鵙《もず》に捕えられて茅《かや》の刈り株に突き刺されて日干になって死んでいました。
これは鵙が冬食べ物がなくなった時食べようと思って仕舞って置いたのです。
母蛙と子蛙は抱き合って泣きました。泣く泣くお父さんのカラカラの死骸を荷《にな》ってつぶれた蓮の葉のお寺に担ぎ込んで、親類や友達蛙が寄ってたかってお念仏をしてお葬《とむら》いを済ましました。
そこへ一匹の雀が通りかかって、お前達は何をしているかと尋ねました。蛙どもがわけを話しますと、雀は肩を怒らして申しました。
「大体、あの鵙という奴は高い処へ止まってキイキイ威張った憎い奴だ。よし俺が仇を取ってやるから泣くな泣くな」
と言って飛んで行きました。
雀は友達を大勢集めて評議をしましたが、やがて八方に飛び散って鳥さしを探しました。鳥さしが見つかると雀どもは大勢連れ立って鳥さしの前をチ
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