猟奇歌
夢野久作

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)叮嚀《ていねい》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)南|仏蘭西《フランス》の寺の尖塔

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「てへん+劣」、第3水準1−84−77]《むし》られた

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)やは/\と
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

殺すくらゐ 何でもない
と思ひつゝ人ごみの中を
濶歩して行く

ある名をば 叮嚀《ていねい》に書き
ていねいに 抹殺をして
焼きすてる心

ある女の写真の眼玉にペン先の
赤いインキを
注射して見る

この夫人をくびり殺して
捕はれてみたし
と思ふ応接間かな

わが胸に邪悪の森あり
時折りに
啄木鳥の来てたゝきやまずも

  *     *     *

此の夕べ
可愛き小鳥やは/\と
締め殺し度く腕のうづくも

よく切れる剃刀を見て
鏡をみて
狂人のごとほゝゑみてみる

高く
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