あると、アトに取り残された([#ここから横組み]A+B[#ここで横組み終わり])という魂が、一人ポッチで遊離したまま、徐々と、又は突然に一種の不安定的な心霊作用を起して([#ここから横組み]A−B[#ここで横組み終わり])に呼びかける……つまり一時的に片寄った([#ここから横組み]A−B[#ここで横組み終わり])的性格を([#ここから横組み]A+B[#ここで横組み終わり])の方向へ呼び戻して、以前の全性格([#ここから横組み]A2[#「2」は指数]−B2[#「2」は指数][#ここで横組み終わり])の飽和状態に立ち帰らせるべくモーションをかけるのだ。その魂の呼びかけが、そっくりそのまま声となって錯覚されるので、その声が普通の鼓膜から来た声よりズット深い意識にまで感じられて、人を驚ろかせ、怪しませるのは当然のことでなければならぬ」
といったような論法で、生物の外見の上に現われる遺伝が、組合《くみあわせ》式、一列式、並列式、又は等比、等差なぞいう数理的な配合によって行われているところから説き初めて、精神、もしくは性格、習慣なぞいう心霊関係の遺伝も同様に、数理的の原則によって行われている事実
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