どれ位のものであるか、同時に鼻がその人の二重三重の底意までも如何にデリケートな程度にまで写し出すものであるかという事は、今まで挙げました例証で最早《もはや》充分に御了解出来た事と思います。
記憶と鼻
――悪魔式鼻の表現(八)
更にこの鼻の表現の邪道――掴ませものの鼻の表現――悪魔式鼻の表現を根本的に裏切り得る一種の鼻の表現があります。
それは人間の記憶に対する鼻の表現であります。
心に暗い記憶が浮かめば、その人の鼻の表現は自然と暗くなって来るものであります。快濶な輝きが見えなくなって、しまいには黙り込んでしまうようになります。甚だしくなると眼までも閉じて、これを打ち消そうと試みる位になります。しかもそうすればする程|益《ますます》その記憶がありありとなって来る。同時に鼻の表現は益暗くなって来るのであります。
明るい記憶が浮んだ場合は、又これと正反対の結果を鼻の表現に現わすという事は、誰しも容易に認め得る事実であります。
鼻はその記憶の深浅、大小、濃淡から、これに対する良心の反映の明暗、厚薄まで一々残る方なく写し出すのであります。
その結果が如何に
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