味に於て実社会と直接交渉が無いのでありますから咎《とが》むべきではありませぬが、その他の人々は遺憾ながら知恵の果《くだもの》を盗み過ぎて食傷した猿と評する外ありませぬ。
この種の人々はその最大限度に於て仮りの本心、仮りの性格に依ってその鼻の表現を支配し得るに止《とど》まるので、まだ本当に本心や性格を改め得るとは云えませぬ。況《いわ》んや持って生れた魂とか根性とかいうもの――ハイカラな言葉で云えば、大にしては国民性、小にしては個性と名づけられているもの――即ち鼻の表現のあらゆる変化の根柢を作っているそのものまでも転換し支配し得るわけではありませぬ。それ程|左様《さよう》に深刻偉大な鼻の表現の研究者とは云えないのであります。
如何に徹底した悪魔式の鼻の表現であっても、無欲にして明鏡の如くに澄み切った心――悪魔以上に廓然《かくぜん》冷々たる態度を以てこれに対すれば、その底の底に悪魔らしい明智と胆力に対する確信の誇りが浮き上っているのがわけもなく見え透くのであります。さもなくとも普通人でも冷静な気持でこれに対するか、又は初めから呑んでかかるかすれば、大抵この種の鼻の表現使用者の腹の底――世
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