になって来るのであります。
個人もしくは民衆を徹底的に動かすものは真情の流露、至誠の発動であるという事は、今衆口の一致するところであります。而《しか》して真情の流露する時、至誠の発動するところ、必ずや全身のすべての表現の渾然たる一致を見なければならぬ筈であります。
本当に喜んでいるものならば、その全身の表現はその上っ面の表現機関たる眼や口や身ぶりはもとより、鼻の表現までも一貫して徹底的に喜んでいる筈であります。
衷心からそう信じているものならば、その鼻の表現は他の表現機関ともろともに徹頭徹尾確信の輝きに満ちていなければなりませぬ。
こうしてその人のすべての表現が鼻のために少しも裏切られていない事が相手にわかった時に初めて、その人の表現が純一であると認められ得るのであります。その人の真剣味や至誠の力が相手を動かし得るものなのであります。
すべての表現の渾然たる一致――それが相手たる個人及び民衆に及ぼす影響の偉大さ――この機微を盗んで或る程度まで成功しているものがかの名優、その他仮りに悪魔式鼻の表現家と名づけた人々であります。
この中でも名優は商売でありますし、その表現は或る意
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