現研究の面白味はここに到って益《ますます》高潮して来るのであります。
最初から只今までズーッと述べて参りました鼻の表現の実例は、これを大別すると二通りになるのであります。
前の方に述べました実例は、主として鼻の表現を支配し得ぬ人々で、これを支配するは愚なこと、そんな表現機関が自分の顔の真中に存在している事すら夢にも気付かずにいた人々がその大部分を占めているのであります。
それからおしまいの方に悪魔式鼻の表現法として挙げましたのは、虚偽であれ何であれ、兎《と》にも角《かく》にも鼻の表現を支配し得る人々で、中には鼻の表現法を悉《ことごと》く飲み込んでいる人もあるそうであります。そんな人は先ず世間では珍らしい方でありましょう。
ところでこの鼻の表現の支配し得る人々が何故に相手に深い感動を与え得るかと云うと、その眼や口や身ぶりの表現が鼻の表現と悉く一致しているからであります。だから本心からそう云っているように見える。思っているように察せられる。信ぜられる。
だから相手も疑わない。共鳴する。本気になる。とどのつまりが真っ赤な偽ものを真実至誠の者と認めて、身命を惜しまず奉公するという順序
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