》は、動的表現をしていなければなりませぬ。嵐の前に黒ずんで行く海も同様であります。船も海も生命があります。動的表現は悉《ことごと》く生命を持っているものでなければ出来ないのであります。
色も形もかえ得ないものは、総て静的表現しか持たないものと考えなければなりませぬ。死物と同様に見なければなりませぬ。牛の鼻も人間の鼻もこの意味に於て死物同様であります。静的表現ばかりしか持ちませぬ。
ダメス王の鼻も同様でなければなりませぬ。王の鼻の表現は、死んでも生きても何等の変化も無い筈であります。色彩を施された王の木像の鼻とすこしも変りが無い筈であります。仮令《たとえ》ダメス王の鼻が、その生前に於て眼に止まらぬ位の僅かな変化で、その本人や性格を極めて微弱に表わしておったとしても、眼に見えぬ変化が人に感動を与える筈はありませぬ。鼻の動的表現は悉く錯覚であります。ダメス王の鼻は、王の顔面に築かれたピラミッドに過ぎませぬ」
この強い、そうして静かな議論は、その一言一句が悉く生と死――動と静の反語ばかりで成り立っている事を並いる神々に認めさせました。同時に鼻は生き物である、神秘世界の産物である、鼻の動的
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