れ以上。
問…叱《しっ》! 汝はホリシス神の御前にある事を忘れたるか。
答…ホリシス神が予の前に在るを知るのみ。
問…咄《とっ》! 然らば汝は神なるか。
答…人間の鼻なり。
問…汝の答弁は尽くその真なる事をホリシス神に誓い得るか。
答…誓うに及ばず。
問…言語道断! 何故に。
答…ダメス王の鼻、神の鼻に非ず。
[#ここで字下げ終わり]
 独立|不羈《ふき》、神を神とも思わず、ダメス王の鼻はこうして遂に神の法廷を威圧して終《しま》いました。その答弁は一つ一つに諸神を驚かすばかりでありました。真実《まこと》か虚偽《うそ》か、本気か冗談か、平気か狂気か、イカサマ師か怪物か、そうして有罪か無罪か判断に苦しむ大胆さ、しかも生前の主人ダメス王の真価値は勿論、神の権威の軽重までも計りそうな意気組を示しております。
 只ホリシス神の御機嫌のみは益《ますます》麗しいと見えまして、その顔色は益晴れやかに輝き渡りました。
 これに力を得た判官の一人は立ち上って、眉と眼と口と耳の四人の証人に向って、鼻の言葉の真実《まこと》であるか否やを問いました。然るに驚くべし、眉は最前から逆立ちをしております。同様に眼は色
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