が変り果てております。口は顋《あご》が外れたと見えまして開きっ放しになっております。耳は大熱に浮かされて火のように赤く燃え上っております。今まで友達と思っていた鼻が、生前の温柔《おとなし》さにも似ず余りに無法な方言をするのに驚かされて、巻き添いを喰いはしまいかという極度の恐怖から、かように正気を失ったものと察せられました。命に依って現われた法廷の掃除人、蟻の神は四人の証人をそのままにダメス王の木乃伊の寝棺に返してしまいました。
 判官は仕方なしに仮りに鼻の答弁を真実と認めて、これに依って検事と弁護士とに罪の有無を論争させる事にしました。

     権威と使命
       ――鼻の動的表現(七)

 検事の役目を承わった動的表現界の代表者、犢《こうし》の神は鼻息荒く立ち上って、劈頭《へきとう》左の如く論じ出しました。
「被告ダメス王の鼻には動的表現があったと認めなければなりませぬ。動的表現界に於ける詐欺行為者と認める訳には参りませぬ。ダメス王の鼻は王の生前に於て眼や口その他の動的表現係より受けたる恩義に酬《むく》ゆるために王の死後、『動的表現をなしたる記憶無し』と主張している者である
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