いでも象徴し躍動せしめ得ない表現が、矢張り無限と言ってもいい位にあるのであります。
 手近い例を挙げましても今までに出て来た……
 ……鼻をうごめかす……
 ……鼻にかける……
 ……鼻じろむ……
 ……鼻であしらう……
 ……鼻っ張りが強い……
 ……鼻毛が長い……
 というような感じの中一つでも眼や口に出来るのがありましょうか。
 眼尻を下げても鼻毛はよまれぬ人が沢山にあります。腮《あご》が突張っているのは受け身に強い表現で、働きかけの烈しい鼻っ張りとは場面が違います。鼻であしらうのと腮でしゃくるのとは、初対面の軽蔑と旧対面の傲慢程感じが相違しております。眉をひそめて唇を震わしただけでは「鼻じろむ」の感じは出せませぬ。殊に自慢高慢に到っては、鼻にかけてうごめかすより他《た》にかけてうごめかし処が無いのであります。これ等の事実を考え合わされましたならば、鼻の表現の可能不可能問題は自ら解決されるであろうと考えられます。

     鼻の審判
       ――鼻の動的表現(六)

 時は紀元前千二百三十四年、埃及《エジプト》はナイル河の上空に天地の神々が寄り集って、物々しい光景を呈しま
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