があります。意志のお天気の変り工合や感情の風雲なぞの動き工合で色や形の感じが違って行くように見えるだけであります。
……矢っ張り鼻には動的の表現は無い……変化の出来ないものに表現力のあろう筈がない
……あっても他動的で自動的ではないにきまっている……
という事になります。
この観察は悉く中《あた》っているのであります。鼻は本来自動的には極めて単純な表現力しか持たない……本来無表情と見られても差し支えない事を鼻自身も直《ただち》に肯定するに吝《やぶさか》なるものでないと信じられるのであります。
ところがその本来無表現を自認している鼻が、その本来無表現をそのままにあらゆる自動的表現をするから奇妙であります。有意識無意識のあらゆる方面に於ける内的実在もしくはその変化を、如何なる繊細深遠な範囲程度迄も自在に表現し得るから不思議であります。
人間のあらゆる表現を受け持つ顔の舞台面に於て眉や眼や唇なぞが受け持つ役は実に無限と云ってもよろしい程であります。しかしその中にはどうしても鼻でなければ受け持ち得ない役が又どの位あるか判《わか》らないのであります。鼻が登場しなければ眼や口がいくら騒
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