スッカリスフィンクスに馬鹿にされてしまいました。
仕方がないのでヒョットコは、遂に色気と喰い気に逆もどりをしました。昔|獣《けもの》であった時代からこれを生命《いのち》と守り通して来た利己心――生命《いのち》の保存と永続の二つの本能のいとなみに凝り固まりました。
姿は人間でありながら、心は昔の獣のまま喰って惚れて生きている――
――絶対の無自覚の姿!
「オホホホホホホ」
とおかめがこれを見て笑い出しました。
「マア、面白い事。おかしい事。一寸《ちょっと》ヒョットコさん、御覧なさいよ。何て奇麗なお月様でしょう。何て明るいお太陽《ひ》様でしょう。妾《わたし》すっかり感心しちゃったわよ。こんな有難い事は無いわよ。ホントに勿体ない――嬉しい事……オホホホホ」
おかめはこうして総てに満足しました。この上に何物も望みませんでした。
人間の五官を備えている事だけに満足し切って、空虚な喜びに生きている――
――消極的の無自覚の姿!
この無知無能に対して、恐ろしく憤慨したのは天狗様でした。
「おれは貴様達のような無自覚なものじゃないぞ。何物にも満足するような無知なものではないぞ。如何なる
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