戦争を起こし、遂に滅亡に近い運命を招いた帝王の鼻がありました。
断頭台上に端然として告別の辞を述べ、信念と慈愛の表現を万世に残して、人々の涙を絞らせる美人の鼻がありました。
出しゃばりたい一パイの鼻の表現をふりまわして、数十万の生命を弄《もてあそ》び殺した女王の鼻がありました。
戦争の惨禍を坐視し得ぬ鼻の表現から、世界的の博愛事業を生み出して、今日まで幾千万の人々をして人類愛に感泣せしめつつある婦人がありました。
天体の推移を睨み詰めつつ、古井戸に落ちた鼻の表現がありました。
徳業にいそしんで九年面壁した鼻がありました。
寡頭政治から民衆政治へ移すべく、街頭に怒号する鼻がありました。
宗乗の誤謬を匡《ただ》すべく、火に灼《や》かれる迄も正理を標榜した鼻がありました。
形式を破って自由の天地を打開すべく熱狂した鼻がありました。
伝統の文化から個性の文化へ導くべく悶死した鼻がありました。
高い鼻を見ると、無意識にこれを礼拝しました。
大きい鼻に出合うと、無条件でその庇護を受けようとしました。
強い鼻にぶつかると、訳も無くこれに服従しました。
その代り些しでも弱い鼻
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