た意味でなしに、鼻の表現の歴史と見て差し支えないのであります。
 人類文化の推移は掛け引き無しのところ、鼻の表現の推移と考えられるのであります。

     スフィンクス
       ――運命と鼻の表現(二)

 世界歴史の表面に鼻を向けるに先立って、是非一度研究しておかねばならぬのは、前に御紹介致しました世界最古の文明国エジプトはナイル河畔に、数千年の昔から横たわっているスフィンクスの鼻の表現であります。
 青藍色に澄み切った大空の燦爛《さんらん》たる烈日の下《もと》に燃え上る褐色の沙漠の一端、暗黒の大陸を貫いて南から北へ流るるナイル河の氾濫に育《はぐく》まれたエジプトの文化は、実に奇怪を極めたものでありました。
 滴《したた》るばかりの緑の野に金光|赫々《かっかく》として輝くファラオの武威は、各王の死後の住家である三角塔と、その功績を地表高く捧ぐる方光塔と、迷い入ったら最後、容易に出口を発見し得ぬという螺堂を生みました。又不可思議をそのまま神として崇拝する万有神教は、輪廻転生の説と木乃伊《ミイラ》とを生みました。その中にわけても不可思議の建造物として、今日迄全世界の学者に首をひね
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