らしているスフィンクスの大石像を生み出したという事は、エジプトの文化の奇怪さを一層強く裏書きしているものではありますまいか。
 この石像の不可思議が今日迄解決されないままに「謎語《スフィンクス》」の象徴として中学校の教科書にまで載せられている事は、あまりに知れ渡り過ぎている事実であります。その「謎語」の「謎語」たる所以《ゆえん》は、その姿が人面獣身であるところにあるという事も亦あまりに有名な事実であります。
 然るにここに注目すべきは、そのスフィンクス像の鼻は偶然か天意か知らず、いつの間にか欠け落ちている事であります。その欠け落ちたのは勿論後世の探検家に発見される以前の事で、本来高かったものか低かったものか、又はどんな恰好をしていたものか、今日からは全く見当のつけようがないのであります。
 鼻の表現の研究が世界歴史に触れるに当っては、是非ともこの事実を問題としない訳には参りませぬ。スフィンクスの鼻が欠け落ちているために、如何にそのスフィンクスたる表現を強めているか。スフィンクスの象徴している意味が、如何にスフィンクスられているかということは、「鼻の表現」に与えられた一つの謎語[#「謎語
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